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「教えてgoo」、恋愛相談の次はAIで最適な旅行プランを提案

利用者に「気付き」を与える情報を提供
 ポータルサイト「goo(グー)」を運営するNTTレゾナント(東京都港区、若井昌宏社長)は、人工知能(AI)を活用し、新たな情報サービスに挑戦する。利用者が求める情報を的確に返すだけではなく、利用者に「気付き」を与える情報を提供する。その一環として、AIがチャットを通じて会話しながら利用者の気持ちを理解し、最適な旅行プランを提案するサービスの開発に着手した。

 「我々が培ってきた検索・日本語処理技術に加えてAI技術を活用し、利用者それぞれに最適化したり、利用者の意図を察して気付きを与えたりできる(情報)サービスを創造する」。若井社長は20周年を迎えた「グー」の今後の戦略を強調する。

 AI技術の活用により、利用者の行動から関心事を割り出し、提案するといった情報サービス領域を開拓する。利用者が求める情報を提供するといったこれまでの事業を進化させる。

 AI技術の進化や消費者需要の多様化などを踏まえ、利用者一人ひとりに寄り添い、深く理解して情報を提供していく。

 開発中の旅行プラン提案サービスは「膨大な情報に裏付けられた発想や利用者一人ひとりに適した、きめ細かい情報の提供が求められる」(若井社長)ため、特にAI技術を生かせる分野と判断した。9月をめどに提供を始める。

 同サービスは、利用者がその時の気分を、選択肢から選んだり文字で入力したりすると、AIが利用者に最適な国内旅行プランを提案する。

 利用者の気分から関心事を理解して旅行先などを提案する。利用者とリアルタイムに会話しながら、同社の旅行比較サイト「goo旅行」に掲載している旅行プランなどの紹介につなげる。


 同サービスはNTTグループのAI関連技術「corevo」を活用。NTTレゾナントのサービスが持つデータをディープラーニング(深層学習)を使って学習させる。

 具体的には「goo旅行」や「goo地図」の観光地・地域情報のほか、「gooブログ」の旅行体験記事といったソーシャル情報を利用する。若井社長は「ソーシャル情報の活用により、話題のイベントなど旬な情報を織り込んでプランを提案できる」と力を込める。

 同社はすでにAI活用サービスとして、Q&Aサイト「教えてgoo」において、AIが恋愛相談に答えるサービスの提供を始めている。相談文の中の単語やその順番などから質問の意図を理解し、「教えてgoo」のQ&Aデータから最適解を抽出している。
(文=葭本隆太)
日刊工業新聞2017年5月5日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
今回のAIサービスはそこから進化させ、AIと利用者との会話を可能にする。使うデータも厚みを持たせ、対応のベースとなる知識の底上げを図る。これにより会話を繰り返す中で利用者の気持ちを理解しながら、利用者それぞれに最適化した旅行プランを提案できるようにする。若井社長は「(AIを活用した情報提供により)利用者の(選択の)可能性を広げたい」と意気込む。

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