アプリが飲料自販機を“再発明"する!

コンビニにできない“自社の商品だけ”で差別化

 ゴールデンウイークを利用し家族旅行やレジャーとなれば、観光地や高速道路のサービスエリアにある自動販売機で飲料を買う機会も増える。無人で好きな商品を手軽に買える自販機は飲料業界にとって、価格競争に巻き込まれず定価に近い値段で商品を販売できる利点がある。スーパーやコンビニエンスストアと違い、自社の商品だけで商品をそろえられるのも魅力。こうした長所に目を付け、各社は争って自販機戦略に力を入れている。

 キリンビバレッジの自販機子会社、キリンビバレッジバリューベンダー(東京都中野区)は4月、対話アプリケーション(応用ソフト)を展開するLINEと共同で、スマートフォンアプリ「LINE」をかざして飲料を買うとポイントがたまるサービス「Tappiness(タピネス)」を始めた。

 15ポイントたまると、好きな飲料に無料で交換できる。首都圏と大阪でまず1000台、1年後に全国で合計2万台の展開を目指す。

 「自販機で飲料を買うお客さまは、一般に年齢が高い。サービスを機に若者たちに自販機をどんどん利用してもらいたい」。バリューベンダーの岩田実社長は期待を込める。

 LINEは中高生などの間に定着している。新サービスは飲料を買ったポイントを自分でためるだけでなく、友人や家族などに贈るのも可能。「引き続き、いろいろな特典を研究する」(岩田社長)考えだ。
バリューベンダーは自販機限定サービス開始でLINEと組んだ

 自販機固有のサービスは、日本コカ・コーラが先行。「CokeON(コークオン)」は、専用アプリをスマホにダウンロードする。

 キリンビバのサービスと同様、15ポイントで好きな飲料1本と交換できるが、対応自販機は全国に16万台以上と飲料自販機首位の底力を見せる。温度帯別や地区別の戦略も検討している。

 自販機飲料は長らく、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの店頭販売に押されてきた。ドラッグストアやスーパーでは定価が1本140円の飲料が、半額近い78円や88円で売られることも日常茶飯事だ。

 コンビニはこれより値引き率は小さいものの、自販機と違いサラダやパン、書籍なども一緒に買える便利さがある。さらに自販機の存在を脅かしているのが、店頭の淹れ立てコーヒーの存在。値段はSサイズなら税込み100円。

 淹れ立てのため、コーヒーの新鮮な香りが楽しめるのも魅力だ。飲料業界ではコンビニのコーヒーと自販機の缶コーヒーをどう差別化するかが、重要なテーマになっている。

 サントリー食品インターナショナルは自販機の利用促進策として、人気漫画の書き下ろし作品が無料で読める自販機を全国に20万台展開している。飲料を購入し「当たり」が出ると、1作品をパソコンやスマホにダウンロードできる仕掛けだ。

 これと別に、企業が従業員の健康管理を支援するツールとして、自販機を活用する事業も進める。オフィスビル内の企業などと連携し、エレベーターを使わずに階段を歩くとポイントがたまり、特定保健用食品(トクホ)飲料と交換できる「サントリーGREEN+(グリーンプラス)」事業だ。自販機を基盤に、オフィスビル内の法人顧客の囲い込みを狙う。
従来より4度C低い温度で飲料を提供する強冷自販機

 拡大する訪日外国人旅行者(インバウンド)を取り込むのはアサヒ飲料。インバウンド向けに、17の言語で観光案内ができる無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」を搭載した自販機の設置を強化している。外国人客が案内情報を入手するため自販機付近に集まることで、飲料購入も増えると読む。

 炭酸飲料の消費が伸びる夏には、従来より4度C低い温度で提供が可能な「強冷自動販売機」の展開も始めており、17年内に5500台を設置する計画。

 強冷自販機は約20度Cで提供する常温自販機も兼ねており、エアコンの効き過ぎで体の冷えに悩む女性に販売できるのも強みだ。

 各社、「自販機の強みを生かした販売戦略」(アサヒ飲料の岸上克彦社長)に知恵を絞る。
(文=嶋田歩)

日刊工業新聞2017年5月5日

明 豊

明 豊
05月06日
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ポイントがたまるサービスは結構ありだと思う。ただ現状は大手のプラットフォーマーのサービスに紐付く形。飲料メーカー側はどちらかといえば防衛的な要素が強い。もっとわくわくするサービスに期待。

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