乳がん診断・治療、ここが進化している!

患者も増加傾向。医療機器メーカー、技術開発の最前線

 「ウーマンズヘルス(女性の健康)」を巡る議論が活発化している。中でも乳がんは患者数が多く、近年増加傾向にある。早期診断、早期治療が欠かせない病気の一つであり、医療機器各社も検査時の痛み軽減や診断精度の向上につながる技術開発を進めている。乳がん診断・治療技術の最前線を追う。

 乳がんは女性の部位別がん罹患(りかん)率で1999年以来、第1位だ。新規の患者数は年8万人を超え、年々増加している。

 一方、日本での乳がん検診の受診率は欧米諸国と比べて低いのが現状だ。その理由の一つに乳がんの代表的な検診である乳房用X線診断装置(マンモグラフィー)の痛みを指摘する声は多い。

 GEヘルスケア・ジャパン(東京都日野市)は、検査時の痛みの軽減に配慮したマンモグラフィー「セノグラフプリスティーナ」を訴求している。

 高画質・低線量という特徴を維持しながら、撮影台の角に丸みを持たせ、乳房の大きさによって選択可能な圧迫板などを用意した。GEヘルスケアの担当者は「受診者の痛みや不快感を和らげる。検査を行う技師にとっても無理のない姿勢で位置決めをサポートできるため、好評を得ている」と言う。

正確に位置把握


シーメンスヘルスケアの超音波診断装置「アキュソン」

 日本人に多い乳腺密度が高い高濃度乳房では、乳がんのしこりの判別にマンモグラフィーとともに、超音波診断装置の併用が有効とされている。

 シーメンスヘルスケア(東京都品川区)の超音波診断装置「アキュソンS2000ABVSHELXエボリューション」は、一般的な装置と比べて視野幅の広いプローブ(探触子)を採用し、自動で乳房をスキャンする。

「術者の手技に依存せずに、安定して高品質な画像を得られる」(シーメンスヘルスケア)のが特徴で、取得した大量なデータから自由に断面を切り出したり、しこりの正確な位置把握などがしやすくなる。

 乳房専用の陽電子放射断層撮影装置(PET)に力を注ぐのは島津製作所だ。乳房専用PET「エルマンモ」は患者がうつぶせになって、検出器の穴に乳房を入れるだけで検査できる。

 乳房をはさむ必要がないため患者に痛みがなく、全身用のPET/コンピューター断層撮影装置(CT)で難しかった小さな乳がんの診断も期待できる。

 現在、クッションの厚みや形状を変えることで検出器の奥まで乳房を入れられるように改良中で、「ブラインドエリア(見えない部分)を少なくし、検査時の快適性も高める」(島津製作所)研究を進めている。

 画像処置技術の開発も盛んだ。富士フイルムは人工知能(AI)を用いて、患者の体内構造を診断画像に反映させる技術を開発し、乳がん検査用X線撮影装置「アミュレットイノバリティ」に搭載している。

 乳房の構造に当てはまらないものを画像から取り除くことで、乳腺構造が重なって見える部分でも微少な石灰化などが見分けやすくなる。

5日で終了


コニカミノルタの乳房小線源治療用機器「SAVI(サヴィ)」

 治療技術ではコニカミノルタが乳房小線源治療用の医療機器「SAVI(サヴィ)」を取り扱っている。

 これは、がんを部分切除した後に再発を防ぐために行う放射線治療に使用する。カテーテルで線源(サヴィ)を乳房内に送り、内側から照射する。

 一度に多くの線量を当てられるため、一般的な「全乳房照射」で25日間かかる治療期間が、サヴィでは5日間で終わり「患者の早期の社会復帰が可能」(コニカミノルタ)だ。照射箇所を細かく調節でき、正常組織への被ばくも少なくできる。

 国内で14年に治療が始まり、現在6施設で導入済みだ。16年にサヴィの多施設共同研究も始まっており、導入に弾みがつきそうだ。

日刊工業新聞2017年5月4日

村上 毅

村上 毅
05月04日
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乳がんは日本人女性の12人に1人が罹患すると言われる身近な病気だ。乳がんへの関心が高まっている今だからこそ、まずは周知を図り、乳がん検診受診率を引き上げていくことが必要だろう。

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