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米の航空機エンジン大手が半世紀ぶりに認めた日本企業

大同特殊鋼がP&Wに金属材料を供給
米の航空機エンジン大手が半世紀ぶりに認めた日本企業

P&WのMRJ用エンジン「PW1200G」(三菱航空機提供)

 大同特殊鋼は航空エンジン大手の米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)向けに、エンジン用のニッケル合金とシャフトの供給を始めた。航空機向けの金属材料は伝統的に欧米メーカーが強く、P&Wが素材の製造で新規メーカーを認定するのは約半世紀ぶり。アジアの企業では初めてという。

 渋川工場(群馬県渋川市)で、エンジンの高速回転体用のニッケル合金と、旅客機用エンジン「PW1000G」シリーズ向けのシャフトの量産を始めた。生産量は溶解量ベースで月産20トン。PW1000Gエンジンは、欧エアバスやブラジル・エンブラルの新型旅客機に加え、三菱航空機(愛知県豊山町)が開発中の「MRJ」にも搭載される。

 ニッケル合金は鉄などと比べ耐熱性や耐食性に優れ、採用が広がる。大同は既に世界シェア3―4割を持つエンジンシャフトに加え、材料の供給も拡大し、航空機関連事業を強化する。
渋川工場

日刊工業新聞2017年4月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本のほぼ中央に位置し、「へそ祭り」で有名な群馬県渋川市に大同特殊鋼渋川工場がある。原料の鉄スクラップにクロムやニッケルなどを独自のレシピで配合し、多様な特色を持つ「特殊鋼」を生産する。工場は原料を溶かして鋼の塊をつくり、鍛造や熱処理、加工を重ねて航空機部品など製品までの一貫生産体制を敷く。航空機エンジンシャフトは世界トップ級のシェアを握る。米ボーイング用の一部機種のエンジンシャフトは全量がこの工場で生まれている。

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