日本郵政のM&A損失額は年賀状2年半分

買収を決断した西室元東芝社長の責任問題には触れず

 年賀はがきにして約77億枚分。日本郵政が豪物流子会社トール・ホールディングスの買収で被った損失、約4000億円は、日本人全体が出す年賀状の2年半分にあたる。

 携帯電話やインターネットの普及もあって年賀状の発行枚数は減り続けている。とはいえ約20万人のグループ社員が年末年始に特別体制を組んではがきを売り届けているわけで、こうした地道な努力の積み重ねで獲得した利益が投資の失敗で一瞬にして消えてしまったことに怒りを覚える。

 日刊工業新聞は地域経済面で「JAPANPOST 西から東から」を連載中。その取材で訪れたある郵便局長は、高齢化と過疎化が進む地域にあって知恵を絞って地域振興に尽力していた。

 役所ともコンビニとも違う独特な存在。貯金や簡易保険を通じて一般家庭のふところにまで通じる。不可欠な社会インフラであり、最前線の郵便局員が民営化の波にもまれながら生き延びる道を探っている。

 日本郵政は政府が8割強の株を保有する特殊法人であり、その資産は国民の財産そのものだ。民間企業の投資とは同一視できない。トール買収は、高値づかみの不用意なものだったと言わざるを得ない。どう取り戻すか、真剣に考えてもらいたい。

日刊工業新聞2017年4月26日「 産業春秋」

明 豊

明 豊
04月26日
この記事のファシリテーター

この記事を執筆したのはおそらく長く郵政行政を担当してきた記者と思われ、文章からもかなり感情がにじみ出ている…。それを少し差し引いても日本郵政のトール・ホールディングスの買収は失策と言われても仕方ない。25日の会見で長門日本郵政社長は「買収額、リスク管理タイミングが甘かったかもしれない」と語った。買収したのは15年5月。当時の日本郵政社長の西室泰三元東芝社長は15年11月の上場を控え、トール買収でグループ企業の価値増大を図る狙いがあったが、結果として高値づかみの格好となった。長門社長は西室氏について「入り口の責任と、買った後のマネジメントの責任とがある」としたが、同氏の責任問題には触れなかった。 

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