花粉症の人にとって必須の情報取得を支えている中小企業とは

大和製作所、リアルタイム花粉モニター開発

 大和製作所は、花粉量を自動計測する「リアルタイム花粉モニター」を製造する計測機器メーカーだ。2002年から、環境省が設置する花粉の飛散状況を把握できる「環境省花粉観測システム(愛称=はなこさん)」向けに同計測器を納めている。

全国120カ所に設置


 当初は関東地区のみだったが順次エリアを拡大し、08年には、沖縄を除く北海道から九州までの全国120カ所に同計測器を導入している。ホームページ上で、計測した飛散状況が1時間ごとに更新され、花粉暴露からの回避行動や予防対策につながるという。

 従来から花粉の計測はダーラム法と言われ、ワセリンを塗ったスライドガラスを屋外に設置した捕集器に1日置き、それに付着した花粉の数を顕微鏡で数えて1平方センチメートル当たりの個数で表している。顕微鏡で数える作業は正確だが、時間を要する。そこで、「他企業がやっていないものを開発するのが基本」という社長の藤田敏男は、リアルタイムで計測可能な花粉計測器の開発に至った。

「独自」が基本


 同計測器は、スギやヒノキ花粉など28マイクロ―35マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の球形粒子を測定できる。半導体レーザーをコリメートレンズなど2種類のレンズを通し、大気を吸引するノズル部分で厚さ約40マイクロメートルのシート状の光にする。ノズルから粒子が入り込むと粒子の大きさに応じた散乱光が生じる。その散乱光を前方・側方から検知することによって花粉と繊維状ダストを判別して、粒子を測定できる仕組みだ。光量は粒子の大きさに比例するため、散乱光の強さによって大きさを判別できる。

 連続測定に耐えられるのも特徴で1年間の連続測定も可能だ。花粉は植物の種類によって大きさや形も異なり、種類も多いため、「実際に飛んでいる花粉を判別するのはとても難しい」と藤田はいう。計測データは、機械の外部端子からつないでサーバーに飛ばすことができる。測定命令をパソコンなどで出すこともでき、距離が離れた場所からリモートコントロールできる。
社長・藤田敏男氏

 海外輸出も検討している。ただ、各国で花粉症を発症する花粉は変わるため、それに応じて花粉測定する必要がある。現在は環境系計測機器を開発中で「センサーとしてIoT(モノのインターネット)にも活用していきたい」と話す。
(敬称略、文=横浜・高島里沙)

【企業プロフィル】
▽住所=神奈川県横須賀市平成町2の1▽代表者=藤田敏男氏▽設立=88年(昭63)4月▽売上高=3500万円(17年3月期)

日刊工業新聞2017年4月25日

昆 梓紗

昆 梓紗
04月25日
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重度であればもう飛散量など関係なく対策必須でしょうが、軽度の花粉症なので、飛散量情報が役立っています。「今日は花粉が多いから薬を飲もう」「今日はあまり飛んでいないから部屋を換気しよう」などと行動に反映することができるのです。

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