成長市場の缶チューハイ、“季節の果物”で差別化

食中酒にもリラックスしたい時にも

 酒類大手が缶チューハイに力を注いでいる。キリンビールは「氷結」の新シリーズ「旅する氷結」が好調で、増産を決めた。サントリースピリッツは 「こくしぼりプレミアム」や「マイナス196℃ストロングゼロ」の新商品を、4月と5月に発売する。アサヒビールは中身を刷新した「もぎたて」の販売が、計画比2割強の伸び。缶チューハイは原料規制のあるビールと比べ“季節感”を打ち出しやすく、価格が手頃なことも追い風だ。ビール類不振を尻目に、缶チューハイ市場の好調が続きそうだ。

 1―3月のビール類課税出荷数量は前年同期比0・7%減、ビール単体も同1・3%減。ともに最低数量を更新した。これに対し缶チューハイは、各社の違いはあるが同5%以上伸びている。“ビールから缶チューハイ”の流れが進んでいることは明白だ。

 缶チューハイはビールに比べ、桃やサクランボ、パインなどの味で季節感を打ち出しやすい。アサヒはもぎたてで4日から「手摘(づ)み青梅」を投入。キリンも「氷結」でゴールデンパイン、シナノゴールド、ゴールドキウイの3種の果実を合わせた「ゴールデンミックス」を25日に出す。サントリーは5月にアセロラやライムの商品を投入する。

 ビールは原料の規制があるため、こうした展開は難しい。さらに、価格面も追い風だ。酒税があるため、ビールは350ミリリットル缶で1本200円以上するのに対し、缶チューハイは同量でほぼ150円。スーパーではこれより安く売られる場合も多い。さらに、アルコール度数が9%前後と高い商品もある。コストパフォーマンス志向の強い消費者から見れば、缶チューハイは「ビールの半額で手軽に酔える商品」だ。

 技術改良による味の向上も後押しする。キリンは高果汁分を特徴とする「本搾り」が刷新以降、前年比でほぼ2割増の売れ行き。アサヒは「もぎたて」の刷新で、収穫後24時間以内に搾汁する特徴は変えず、果汁や香味のバランスを見直し、自然の果実に味わいを近づけた。サントリーは「マイナス196℃ダブルレモン」で、しっかりしたレモン感を打ち出している。

 こうしたメーカー各社のきめ細かな改良や工夫が、食中酒にもリラックスしたい時に飲む酒としても支持される味わいを生み出している。
(文=嶋田歩)

日刊工業新聞2017年4月20日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
04月24日
この記事のファシリテーター

アルコール度数が高い缶チューハイといっても飲みやすく、以前のような「舌がピリピリする酒」ではなくなっている。缶チューハイの人気は衰えそうにない。
(日刊工業新聞第二産業部・嶋田歩)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。