中小規模の大学が世界を意識するきっかけになるか

THEランキング、全世界の学生に活用されることを想定

 「教育力」に的を絞った大学の評価ランキングが登場した。「研究力」重視の従来型ランキングでは入らなかった地方の中小規模大学が30位以内に複数入ったのが特徴だ。同じような環境にある大学が改革を進める上で、有力な指標となり得る。

 英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)を運営するTESグローバルがベネッセグループと協力してまとめた「THE世界大学ランキング日本版2017」によると、10位以内に東京大学、京都大学など“常連”が名を連ねたものの、30位以内に長岡技術科学大学(新潟)、国際教養大学(秋田)、会津大学(福島)、立命館アジア太平洋大学(大分)、九州工業大学(福岡)など地方の単科大が入った。

 同ランキングは、評価の26%を高校教員の評判が占めるなど、研究力評価で有名な「THE世界大学ランキング」とはかなり設計を変えている。「全授業に占めるアクティブラーニング(参加型学習)で行われる授業の割合」や「全学生に占める留学経験者の割合」など、ユニークな切り口別の評価もされた。その結果、300近い大学の名が挙がった。

 注意が必要なのは、THEのランキングとして、日本の大学の教育力を国内外に伝えることが狙いという点だ。つまり“日本社会で評価される教育力”ではない。留学先を思案する全世界の学生に、活用されることが想定されている。

 そのため評価の16%は、外国人の学生比率と教員比率が占める。この比率が高く、国際化の各種対応が進んだ大学なら、新たな留学生がよりよい教育を受けられる、という判断が入っているわけだ。

 逆に優れた教育手法を導入していても、日本人学生向け限定なら評価は高くない。その結果がネットを通じて世界に情報発信されてしまう。グローバル時代の厳しさを、改めて感じる大学関係者は多いに違いない。

 中小規模の大学が世界を意識するきっかけになり得るのは確かだ。各大学は自らを振り返る材料として活用してほしい。
                   


日刊工業新聞2017年4月19日
「THE世界大学ランキング日本版2017」

明 豊

明 豊
04月19日
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日本、中国、韓国、台湾といった東アジアで、教員や学生の流動性につながればいい。隣の文化や言語に詳しい若者が増えることにより東アジア圏が強くなる。

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