店舗の合理化で浮いた人件費を物流コストにまわすコンビニ

RFIDで人件費削減、自社でドライバーや倉庫スタッフ確保へ

 もはやライフラインの機能も持ち始めたコンビニエンスストア。セブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの大手3社は店舗数を急拡大しており、取扱品目も日用品や総菜など多岐にわたる。

 基本的にコンビニ各社は配送や物流センターの運営を外部に委託している。ただ物流業界の人手不足が深刻な中、自社で物流業務に関与しなければ最悪の場合、店舗に商品が届かない状態になりかねない。

 ファミリーマートは自社のホームページに、配送ドライバーや倉庫内作業スタッフの募集ページを設置した。協力会社の採用を支援している。

 ローソンは人工知能(AI)を用いた配送ルートの組み立てに着手した。店舗からの発注内容は毎日異なる。トラックを増便すべきか配送ルートの変更で対応するかといった、今までは担当者の勘に頼っていた判断をAIが代行する。

 店舗の数や立地の変化にも対応しやすくなる。川鍋智之商品本部ロジスティクス部長は「店舗増や顧客サービス強化で『商品を確実に届けなければ』とのプレッシャーは高まっている」と語る。

 配送前の物流センターの改革も課題だ。商品の仕分けや積み込みなどの作業負担が大きいため、女性や高齢者は就労を敬遠しがち。ここでも人手不足が顕在化している。

 セブン―イレブンはRFID(無線識別)を使って人手による作業を減らす実証実験を、8月をめどに始める。物流センターでの仕分け時に、商品を載せるカゴ車ごとにタグを付けて商品とひも付けし、そのデータを店舗に送る。

 店舗ではカゴ車がRFIDの読み取り機を通過すると、そのまま納品、検品が終わる。店舗の従業員が検品作業に費やす時間は1日当たり170分から8分に短縮できるとしており、1店舗当たり年間約80万円の人件費削減効果を見込む。

 配送車へのパワーゲート(昇降機)導入も進め、ドライバーの雇用促進や、労働環境改善に役立てる方針だ。井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長は「サプライチェーン全体で、生産性を上げる」と説明する。

 ローソンも物流センターで「パワーアシストスーツの導入などを提案」(川鍋部長)する考えだ。「店舗にとって商品は『あって当たり前』の存在」(同)。信頼を守るためにも、物流の見直しは急務だ。
(文=江上佑美子)

日刊工業新聞2017年4月18日



コンビニ商品に電子タグ、経産省と大手が合意


ローソンの次世代型コンビニの完全自動セルフレジ機「レジロボ」

 経済産業省は18日、2025年までにコンビニエンスストア大手5社の全商品に電子タグを貼り付けることで合意したと発表した。小売業で人手不足が課題となっている中、セルフレジの導入や万引き防止につなげていく。

 参加するコンビニチェーンはセブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、「ニューデイズ」を運営するJR東日本リテールネット。年間で推計1000億個の商品に貼り付け、商品ごとの管理に生かす。

 電子タグで取得した情報の一部はサプライチェーンに提供することを検討する。18年をめどに実証実験を始める。現状では電子タグの単価は10―20円と高価だ。電子タグの単価が1円以下となり、メーカーが商品に電子タグを付けることを実現の条件としている。

 ローソンは経産省の支援で16年12月から、大阪府守口市の店舗でセルフレジや電子タグの実証実験に取り組んだ。レジ業務や棚卸し業務の効率化につながったとしている。

日刊工業新聞2017年4月19日

森谷 信雄

森谷 信雄
04月19日
この記事のファシリテーター

今後はサプライチェーン全体でいかに効率化を進めるかが、人手不足、物流の危機への対応になるのでしょうか。無人コンビニで店舗の運営合理化はできても、メーカーから店舗、そして消費者に渡るまでの商品流通の効率化は避けられませんからね。

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