ゴルフの飛距離左右する「1万分の5秒」を解析

ブリヂストンスポーツ、ゴルフ用品開発の裏側

 東京・池袋から特急で90分。関東の奥座敷、埼玉県秩父市にブリヂストンスポーツ(東京都港区、楳本富男社長)の研究施設「M&Dセンター秩父」がある。

 ここでは、ほぼ全ての製品の研究と開発が展開されている。主力製品であるゴルフ用品の開発においては、クラブ、ボールともCAD/CAMのデータを用いて解析し、製品に生かしている。

 開発に用いるのはFEM(有限要素法)だ。クラブとボールそれぞれの設計データを入力し、クラブがボールを打った時の構造の変形度合いと、その後ボールが飛ぶ距離をシミュレーションする。ボール、クラブ両方ともメッシュ状にし、動きが加わってメッシュの一つひとつがどのように動くかを時間ごとに区切って、より高品質な製品づくりに反映させている。ボールは内部をいくつかの層(レイヤー)に分けて、レイヤーごとに使う材料を変更しての解析も可能だ。

 「クラブとボールが接する時間は1万分の5秒。ここで飛距離が決まる。細かく解析することにより高精度な製品づくりができる」(解析評価技術開発ユニットの清水拓市氏)。FEM導入前は実物での試行錯誤を繰り返したが「FEMにより構造の見える化ができ、設計の効率化はもちろん、新発見もあった」(同)。

 新発見から生まれた製品の一つが、表面に新技術「スリップレスバイト・コーティング」を施したボール「ツアーB330」シリーズだ。フルショットの時はスピンを抑えて長く飛び、スピンをかけるようにクラブを打てばしっかりと呼応する。FEMで解析した幾通りもの材料のうち、最適なものを見つけてコーティング剤として採用した。「タイガー・ウッズ選手も絶賛し愛用している」(同)という。

 解析を生かした開発の背景には、アジアを中心とした新興国メーカーの台頭がある。「日本メーカーが生き残るには製品の品質向上が大事」(ボール商品開発ユニットの佐藤克典氏)。今後も解析と開発を繰り返し、プロとアマ両方から、より選ばれる製品づくりを目指す。
(文=山田諒)

日刊工業新聞2017年4月18日

斉藤 陽一

斉藤 陽一
04月19日
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 私がゴルフを始めた頃のスターは、何と言ってもタイガー・ウッズ。ウッズ本人や、当時ウッズのコーチだったブッチ・ハーモンの雑誌記事を見ながら、打ちっ放しでスイングを練習したことを思い出します。近年は腰痛による欠場が続くウッズですが、このブリヂストンのボールで、再びメジャー制覇する日が到来することを期待しています。

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