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脱タクシーから脱Uberの流れは強まるか

米ウーバー、昨年は3000億円の赤字に不祥事続く。
 米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズの、2016年の取扱高は200億ドル(約2兆1700億円)、売上高は65億ドル(約7060億円)、最終損益は昨夏売却した中国事業を除くベースで28億ドル(約3040億円)の赤字だった。非公開企業のウーバーは通常、決算を開示しないが財務情報を初めて開示した。

 取扱高はウーバーの利用者が運転手に支払う運賃収入と料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の収入を合わせた数字。前年から2.2倍に拡大した。ウーバーの売上高は運転手から徴収する手数料(運賃収入の25%程度)が中心で、競合の米リフトなどを上回っている。09年に創業、現在は世界70カ国450都市以上で事業を展開している。

 一方でウーバーは、元従業員の女性がセクハラ被害を報告、トラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)が運転手を罵倒していたことが明らかになるなど不祥事が相次いでいる。同社は、新しい最高執行責任者を雇うプロセスを進めている。

 日本では14年から本格的にハイヤーの配車サービスを開始。昨年9月には「ウーバー イーツ」もスタートしている。日本ではタクシー業界の牙城が強く、事業拡大に苦戦しているとみられる。

 また日本では自家用車で乗客を運ぶライドシェア(相乗り)は原則、禁止されているため、ウーバーが東京都内で提供できている機能は、一部地域でタクシーを呼ぶことだけになっている。タクシー業界もスマートフォンを使った配車アプリサービスが増えてきている。

 
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
個人的に、海外出張中でのUber Xの利用が増えてきている。当初は行先を伝える必要もなく、決済も簡単なUberの利便性を感じたものだ。しかし、利用頻度が増える程に欠点も見え始める。安心や快適に著しい幅があり、トラブルの解決にも非常に時間を要しストレス度も高いと最近は感じる。脱タクシーは昔の話で、現在では、脱Uberのビジネスモデルの声も強まっている様だ。シェアリングエコノミーのメガトレンドを否定するものでは無いが、Uber的ビジネスの独壇場が続くという意味では無いように思われる。

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