大学理事長は世代交代の契機?永守・日本電産、後継者選びの行方

「社長選び、1年ぐらい猶予を頂く」 存在感高める吉本副社長

 「次の社長を決めることも考え、(理事長就任には)最低でも1年ぐらい猶予は頂く」と、日本電産の永守重信会長兼社長(72)は笑いを誘った。京都学園大学を運営する学校法人の理事長に就任すると発表した3月末の会見。日本電産の経営と兼務するものの、世代交代が近いことを示唆する。創業以来のハードワークで知られる永守会長だが、今や自身の引退をちらつかせるのが“お約束”だ。

 11人いた取締役は、2016年の株主総会の決議で7人に絞り込み、責任の明確化を進めた。創業以来の同志である小部博志副会長(68)が営業、液晶事業で一時代を築いた元シャープ社長の片山幹雄副会長(59)が技術、日産自動車で財務畑を歩んだ佐藤明副社長(62)が財務のトップという、非常にバランスがとれた体制だ。

 日産自動車、シャープなど大手企業の幹部級実力者を数多く引き抜き、世間の注目度は高い。特に片山副会長、大西徹夫副社長(62=元シャープ副社長)の存在は大きく、シャープ退職者の大量採用につながった。

 もっとも永守会長が示す出世の条件は極めてシンプル。「どれだけ稼いだか」だ。かつて後継者候補とも目された呉文精副社長(現ルネサスエレクトロニクス社長)の15年の辞任劇は、達成要求の厳しさをよく示す。

 現在の注目株は16年末に就任した吉本浩之副社長(49)。成長の柱である車載事業本部本部長として指揮を執る。同本部副本部長の早舩一弥専務は「永守会長が言う(現場主義を徹底する)マイクロマネジメントを現場できっちり指示できる」と吉本副社長の経営手腕に舌を巻く。

 一方で「社内をまとめるには、(永守会長の)息子さんを迎えて現経営陣で脇を固めるのが良いのでは」との声も社内外からは聞こえる。永守会長には2人の息子がおり、ともに企業経営者。ただ永守会長自身は同族経営をきっぱり否定する。

 「いつバトンを渡すんだと言われるが、120歳までやる」ともはぐらかす永守会長。しかしその言葉の裏には、早く後継者を固めたいとの思いも垣間見える。大学経営に乗り出すことが、体制変革の契機となりそうだ。
                

日刊工業新聞2017年4月13日

明 豊

明 豊
04月18日
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常識的には早い段階で社長兼COOをもうけるだろう。やはりこのメンバーなら吉本氏か。

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