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百貨店、本業頼みから脱却に動く。不動産や人材派遣など拡大へ

百貨店、本業頼みから脱却に動く。不動産や人材派遣など拡大へ

訪日客の消費動向も業績を左右(大丸東京店)

 百貨店が百貨店業以外で、収益拡大を目指す動きが顕在化している。J・フロントリテイリングは10日、2018年2月期から5カ年の中期経営計画で「マルチサービスリテイラー戦略」を進めると発表した。小売業の枠を超えたサービス事業の拡大を目指す。百貨店の業績は、中間層の消費落ち込みや訪日外国人の購買行動の変化が響き苦戦。山本良一社長は「これまで同様に百貨店をやっていれば安泰、という時代ではない」と語る。

 J・フロントリテイリングが同日発表した17年2月期連結決算は減収で、営業利益が減益だった。営業利益の9割を百貨店とショッピングセンターのパルコが稼いでいるが、新中計でこれを7割に抑える。人材派遣や建装など、経営効率が高い事業の成長を目指す。

 高島屋は不動産業とクレジットなどの金融業を第2、第3の核事業に育てる。ただ、木本茂社長は「コア事業の百貨店にはこだわりたい。百貨店があるから(不動産業の)まちづくり戦略も光る」と強調する。

 百貨店の主力商材である衣料品についても、売り上げ不振を背景に販売を縮小する動きが進んでいる。J・フロントは百貨店の婦人服の売り場面積を、18年2月期に現状の1割削減する。中長期で3割減らす考え。セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のそごう・西武は、化粧品や食品関連に経営資源を投入する。「構造改革は待ったなしの状況」(井阪隆一セブン&アイ・HD社長)だ。
日刊工業新聞2017年4月11日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
百貨店はとにかく、思い切った改革が必要でしょう。何かワクワクするような店づりくを期待しています。

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