「問題」と「課題」を混同してしまう残念な地方創生

文=田鹿倫基 公・民の適切な役割分担とサイクルが活性化につながる

 東京一極集中をどう是正するか、移住者をどう増やすかなど、地方創生にまつわる議論や取り組みが盛り上がっています。政府は従来のような「日本全国一律支援します」というスタンスから、「頑張る市町村を集中的にサポートします」というスタンスに変わるなど、大きく方針転換しつつあります。

 しかしながら、現場の地域や市町村に行ってみると、地域の問題が解決されるどころか、どんどん問題が悪化する泥沼にはまっている地域も見られます。なぜ、そのようなことが起こるのか。まちづくりで大切と言われる「公民連携」を軸にまとめてみました。

理想と現実のギャップとそれを埋めるタスク


 問題を解決するためには大きく3つのサイクルがあります。①解決すべき問題の決定、②問題解決のための適切な課題の設定、③設定された課題を正確に実行する、です。

 問題と課題はよく混同して使われることがありますが、問題とは「理想の姿と現実の姿のギャップ」のことをいい、課題は「そのギャップを埋めるために取り組むタスク」のことをいいます。

 小中学校の夏休みの宿題の定番である読書感想文にも課題図書というのがあったと思います。この宿題は「読書を通して自分の考えを作文としてアウトプットすることができる」という理想と、「その力がまだ足りない」という現実を埋めるために子供にとって適切な「課題」を学校側が設定しているわけです。

 計算ドリルや漢字ドリルも、「習った漢字は読み書きできる、習った計算は正確にできる」という理想と「まだ計算力、漢字力が十分ではない」という現実を埋めるためのものです。

 さて、このような問題と課題の定義についてはビジネスの場では当たり前のように区別されていますが、こと地域活性化や地方創生の分野になると急に曖昧になってしまいます。

 地域で行われる会議では問題も課題も区別して語られることは皆無ですし、もし地域が解決すべき問題を決めれたとしても課題設定がチグハグ、さらに誰もその課題に取り組まない、など絶望的な気持ちになることが多々ありました。

 地域の問題を解決するための3つのサイクル①解決すべき問題の決定、②問題解決のための適切な課題の設定、③設定された課題を正確に実行するを官(行政)・民(企業)・政(政治家)で役割分担することが重要です。

 公民連携とざっくり言われることがありますが、具体的な肝は問題解決サイクルを公(政・官)と民とで役割分担することです。

問題を決定するのは首長、課題設定は民間に


 ①の解決すべき問題の決定をするのは政治家(主に首長)です。極論を言えば政治家はそのために住民から投票というカタチで選ばれているわけです。どの問題を解決するのか、それをやってくれるリーダーを選ぶのが首長選挙です。

 次に②問題解決のための適切な課題の設定は民間が得意とする領域です。理想と現実を的確に把握し、その差を埋めるための課題をロジカルに設定する力は民間企業の商品・サービス改善で培われています。

 そして最後の③設定された課題を正確に実行するに関しては官(行政)が最も得意とする領域でしょう。私も4年前から行政で仕事をすることになって、タスクを正確に確実に処理する力に尊敬しました。

 そもそも行政は一定の試験に合格している人たちの集団です。誰かから与えられた課題(タスク)を正確に時間内に処理する力の高い人たちの集まりなので、それもそのはずです。

 その一方で自らで課題を設定する機会は多くありません。県や国の補助金を使って建物を作ることはあっても、そもそもその建物を作ることで問題が解決に向かうのか、を問われることはほぼありませんでした。

 自治体の施策といえば、同じようなイベントやったり、ゆるキャラ作ったり、動画を作ったり…。果たしてそれが地域の問題解決につながるのか疑問なのに実施しているのは適切な課題の設定が苦手(な意思決定組織)だからでしょう。

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田鹿 倫基

田鹿 倫基
04月11日
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解決すべき問題を決めることが得意な人と、問題解決のための課題を組み立てる人と、課題を正確に素早く取り組む人はそれぞれ求められるスキルも経験も違うんです。
人口減少の最先端ということは、もはや世界中に参考にできる国がないということ。そんな中で適切な課題を設定するためには、これまでの経験とは違ったイノベーション的切り口を持つことが大事なんです。

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