帝人、エアバッグ基布で大攻勢の理由。2020年度までに生産倍増へ

世界最大手の中国モジュールメーカーへの納入を最優先

 帝人は2020年度までにエアバッグ基布の生産能力を現行比50%増の年2250平方メートルに引き上げる。中国工場(江蘇省)で約40%増強する方針を固め、残りを新工場で補う検討に入った。投資額は新工場の建設を含め、数十億円規模を見込む。中国の堅調な自動車生産を背景にエアバッグ基布の需要が伸びており、能力増強で拡大する市場を取り込む。

 ナイロン製エアバッグ基布製造を手がける帝人フロンティア(大阪市中央区)が、中国工場に基布を織る自動織機などを順次増設する。生産能力は現在の年1500万平方メートルから17年度中に20%増やし、さらに18年度に約20%を増強する。19年初頭に年2100万平方メートルを超える見込み。

 ただ、中国工場は従来の日系エアバッグメーカーへの供給に加えて中国メーカーからの受注が増え、2度の増強でも足りない見通し。このため、新工場の設立で不足分をまかなう検討も始めた。

 建設地は「中国にこだわらず、アジアや米州などあらゆる可能性を探る」(日光信二社長)とし、20年頃の稼働を目指す。当初の生産能力は年100万平方メートル規模とし、需要の伸びに合わせて段階的に能力を上げると見られる。

 同社のエアバッグ基布生産拠点は中国1カ所のみ。16年にはメキシコに新会社を設立し、同国でエアバッグ基布生産の事業化調査(FS)に入っている。
                

日刊工業新聞2017年4月7日

峯岸 研一

峯岸 研一
04月10日
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エアバッグ基布生産で最後発の帝人グループが拡大計画を明らかにしたように、日系メーカーの生産拡大が続いています。ナイロン66を中心とするエアバッグ向け原糸と織布生産は、日系メーカーが世界的に優位性を堅持するアイテムです。エアバッグ向け織物は、合繊メーカーが帝人グループ、東レグループ、東洋紡グループ、それ以外のタカタグループ、トヨタグループ、住友商事&住江織物グループが生産しています。その中で帝人グループは、中国において2013年から世界最大手エアバッグモジュールメーカーへの納入を最優先に生産を開始。その後も急テンポで拡大を続け、今年度には織機100台体制が確立する見込みです。同社製の織物がエアバッグ基布としての品質、安定した生産体制が評価されたからです。
 自動車は「安全性向上」が重視される中で、エアバッグが不可欠な部材になりました。そのため装着範囲が広がるとともに基布の「強度」などを求める傾向が高まっています。しかも、先進国から中進国へ需要が広がっており、今後もエアバッグ向け織物の供給力強化が進む見込みです。

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