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住商がトルコで電磁鋼板事業に参入!背中を押した変圧器の省エネ規制

エネルギー高効率化の“コア”技術で海外需要狙う
住商がトルコで電磁鋼板事業に参入!背中を押した変圧器の省エネ規制

5カ国目となるトルコのMKS工場内部

 住友商事は1日、トルコで電磁鋼板加工事業に参入したと発表した。現地加工会社のMKS(チャイロバ市)に出資した。出資額は非公表。住商にとって5カ国目の電磁鋼板加工・販売拠点となる。変圧器の省エネ需要が高まる欧州域内で、高品質な電磁鋼板の取引拡大を目指す。

 MKSは、電磁鋼板の切断から変圧器用鉄芯(コア)の成形まで手がけ、変圧器メーカー向けに納入している。加工能力は年間約3万トンで、将来は同5万トンまで引き上げる計画。

 欧州では2015年7月から変圧器の省エネ規制が施行され、電磁鋼板の品質への要求が高まっている。またトルコは自国の変圧器需要の増加に加え、欧州系の重電大手メーカーの変圧器工場が多く立地しており、中東やアフリカにも近いなどの地理的優位性を持っている。

 住商はMKSの設備や立地を生かし、電力ロスが少ない新日鉄住金製の高品質電磁鋼板の拡販を目指す。
日刊工業新聞2015年06月02日 建設・エネルギー・生活面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
変圧器の鉄心(コア)は電磁鋼板を積層して製造するのが一般的で、鋼板の品質が変圧器のエネルギー効率を左右する。2015-16年にかけて、日本や欧米など世界各国で変圧器のエネルギー基準が強化される予定で、高効率な変圧器需要は高まることが確実な情勢。鉄鋼メーカー、商社の拠点展開の動きも活発化しそうだ。

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