東芝、上場廃止リスク高まる

11日の決算発表「できない可能性が5割より高い」(東芝幹部)

 東芝が、11日に予定している2016年4―12月期連結決算の発表を延期する可能性が出てきた。延期すれば3回目となる。米原子力発電事業の巨額損失問題を巡り、監査法人が15年度以前の決算について調査する意向を示しており、期限までに承認を得られない公算が大きくなっているためだ。東芝への会計不信は深刻化しており、上場廃止のリスクも高まっている。

 東芝幹部は11日の決算発表について「できない可能性が5割より高い。できない前提で準備する」と語った。

 同社は米原発事業子会社ウエスチングハウス(WH)において内部統制に問題があった疑念が生じ調査が必要として、16年4―12月期連結決算の発表を当初計画の2月14日から2度にわたり延期した。

 東芝の決算の監査は、16年度からPwCあらた監査法人が担っている。PwCあらたは米国でWHの内部統制問題に加え、担当前の15年度以前の決算にも巨額損失に関連する問題がないか調査する意向を示している。特にWHが原発建設会社の米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を買収した15年度の決算について疑問視している模様だ。

 東芝は3月29日、WHが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したのに伴い、同社を非連結化した。米原発事業に関するリスクを遮断し、監査法人が決算を承認しやすい環境を整えた格好。東芝幹部は「(3度目の延期を回避するために)当社ができることはやった」と話した。

日刊工業新聞2017年4月3日



再建策の実効性、疑問視する声多く


 東芝がどん底からの経営再建をスタートさせる。3月30日の臨時株主総会での承認を受け、4月1日付けで設立した半導体メモリーの新会社「東芝メモリ」を売却。財務基盤を強化し、社会インフラを中心とする“新生東芝”の実現につなげるシナリを描く。ただ再建に不可欠な要素である信頼回復は容易ではない。

 「東芝の説明はまったく信頼できない。また、うそをついていないか」―。臨時株主総会では多くの株主が不満を爆発させた。決議事項はメモリー事業の分社化のみだったが、原子力発電事業の巨額損失問題、今後の経営方針も説明。総会には1343人が参加、所要時間は3時間30分、株主26人が質問に立った。

 東芝は二つの面で信頼を失っている。一つは内部統制に対する不信。同社は不適切会計問題の発覚を受け、内部統制を強化したはずが、2月には子会社だった米ウエスチングハウス(WH)で経営トップによる不適切な圧力が発覚した。

 このため東芝は16年12月期連結決算発表を2度延期した。15年にも決算発表を延期した経緯があり、株主からは「また遅延か」とあきれる声も。「(次の発表予定の)4月11日は大丈夫か」との質問に、綱川智社長は「しっかりとした覚悟でやる」と返すのが精いっぱいだった。

 経営能力に関する信頼も揺らいでいる。原発の巨額損失はWHが15年10月に実施した米企業買収が直接的要因。綱川社長は「当時の判断は間違っていなかった」と繰り返したが、株主は「完全な失敗」と語気を強めた。

 半導体メモリー、原発を中核に位置付けた従来の経営戦略は1年程度で頓挫した。同時に2本柱を失うという経営の見通しの甘さに株主が「幹部の経営能力が低い」と断じる一幕もあった。

 東芝はエレベーターや空調機器などの社会インフラを中心に、原発を除くエネルギー、電子デバイス、ICT(情報通信技術)ソリューションの4事業に集中し、再建を図る方針を示した。綱川社長は「主要事業は16年度は回復基調で業績も上がっている」と説明した。

 だが、東芝の内部統制に対するステークホルダー(利害関係者)の不信は根強く、新たな再建策の実効性を疑問視する声も多い。一方、同社の社会インフラ設備やICTに対する業界の評価は高い。「役員一同、責任感をもって再生に努力したい」(綱川社長)。この言葉を着実に実行に移していくしかない。

日刊工業新聞2017年3月31日

安東 泰志

安東 泰志
04月03日
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東芝の内部統制は、まだ混乱している。無理に上場を維持するより、ここは非上場化してじっくり内部統制を再構築する方が妥当ではないか。銀行は、半導体会社の事業価値を勘案し、実質資産超過であることは明白なので、その売却の有無に関わらず、融資を継続するのが妥当である。

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