新生・スバルは部品メーカーと“相思相愛”の関係を築けるか

これまで以上に一緒に仕事をして良かったと思えるように

 富士重工業との取引が多い深井製作所(栃木県足利市)は豊田鉄工(愛知県豊田市)と共同出資する米国生産拠点の能力増強投資を決めた。2019年までに工場の延べ床面積を2倍に拡張し、従業員も2倍に増やす。富士重の米国現地生産拡大に伴い現地でプレス部品の受注が想定以上に伸びているためだ。

 スバル車の世界販売の拡大を下支えするサプライヤー各社。調達を担当する執行役員小林達朗は富士重とサプライヤーとの関係について「資本関係はないが関係がとても深く、スバル車を一緒につくっていこうという心理的一体感がとても強い」と強調する。

 特に国内生産拠点、群馬製作所がある群馬県太田市および、周辺地区には主要サプライヤーが集積する。中には前身会社の中島飛行機時代から取引が続くメーカーもある。「技術にこだわるスバルの車づくりを良く理解してもらっており“あうんの呼吸”で仕事ができている」と小林はかみしめる。富士重はこれまで太田を中心としたサプライヤーとの長年にわたる信頼関係をベースにスバル車の競争力を高めてきた。

 今後の調達戦略の方向性について小林は「これまで以上に『一緒に仕事をして良かった』と思える関係づくりが重要になる」と話す。自動運転、電気自動車(EV)、コネクテッドカー(つながる車)など新しい車の競争軸への対応で、既存の部品メーカーだけでなく新しいサプライヤーとの取引も増えていく中、富士重が強みとしてきたサプライヤーとの“あうんの呼吸”が通用しない局面が出てくる可能性があるからだ。

 「他社より規模が小さい当社に、必ずしも最大限のマンパワーを割いてもらえるかわからない」。小林は新しいサプライヤーとの信頼関係づくりに力を入れる。既存のサプライヤーのように“安心と愉(たの)しさ”を追求するスバルの開発思想への共感をどこまで広げられるのか。調達戦略も転換期を迎えている。(敬称略)

トヨタ紡織とタチエスが提携


 トヨタ紡織とタチエスは30日、自動車用シート事業で業務提携したと発表した。製品の共同開発や部品の相互供給、互いの生産拠点の活用などを検討する。自動車業界が転換期を迎える中、自動車シートの同業大手がタッグを組み、世界市場で競争力を高める。

 現時点では資本提携には踏み込まず「今後の検討課題」(トヨタ紡織広報)とした。開発ではシートフレームや機構部品での協業を検討。生産面でも稼働率の低いラインでもう一方の会社の製品を受託生産することなどを検討しており、今後詳細を詰める。

 国内ではトヨタ紡織が中部、タチエスが関東で主に工場を展開している。海外は欧州や東南アジアに強いトヨタ紡織に対し、タチエスはメキシコなど中南米にも工場を持ち、補完関係が高いと判断した。

 トヨタ自動車グループのトヨタ紡織と独立系のタチエスは、ともに自動車用シートが主力。2017年3月期の連結売上高見通しはトヨタ紡織が1兆3300億円、タチエスが2830億円。開発や生産で両社の知見を持ち寄り、製品の提案力を高める。

 トヨタ系のシート事業を巡っては15年、アイシン精機とシロキ工業がシート骨格機構部品の事業をトヨタ紡織へ集約。事業再編で効率を高める動きが加速している。

日刊工業新聞2017年3月30日

明 豊

明 豊
03月31日
この記事のファシリテーター

スバルやマツダなど最近のクルマづくりを評価されている中堅メーカーには、知名度はそれほどないが技術力のある系列サプライヤーが存在する。一方で、昨日はトヨタ紡織とタチエスが提携を発表。特にトヨタはここ数年、系列サプライヤーの再編を積極的に進めている。大きな流れとして部品メーカーもメガサプライヤーに集約される方向になると思う。その中でスバルとサプライヤーの関係も従来のままではいかなくなる。

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