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人の繊細な動作、衣類型センサーが検知。ヤマハが実用化へ

CNTを樹脂で固めた伸び縮みする技術を応用
人の繊細な動作、衣類型センサーが検知。ヤマハが実用化へ

VR用データグローブ(右)と衣類型モーションセンサーの試作品

 ヤマハはフィルム状や糸状で衣類などに組み込める「衣類型モーションセンサー」を2018年中をめどに実用化する。多層カーボンナノチューブ(CNT)を樹脂で固めた伸び縮みする変位センサー技術を応用する。クレッセント(東京都墨田区)と16年末に製品化したVR(仮想現実感)用グローブに続く開発で、ウエアラブルセンサー事業に本格参入する。

 センサー材料は静岡大学と共同開発した独自の結晶構造を持つ多層CNTの集合体(CNTアレイ)。多層CNTアレイは端部を引っ張ると、繭から絹を紡ぎ出すようにフィルムや糸状になる特性がある。それらをウレタンエラストマー樹脂で固めて伸縮性を持たせ変位センサーとした。

 伸び縮みに応じた電気抵抗値の変化で人の体の動きを検知する。センサーを衣類に編み込めば、人の目やカメラではとらえにくい繊細な動作を検知できる。変動追従性は15ミリ秒と速い。ゴムのように伸び縮みするため装着時の違和感もほとんどない。

 衣類型モーションセンサーは全身の動作を検知するシステムまで仕上げる。仮想空間で自身の分身となるアバターを実現し、医療やエンターテインメント、ゲームなど幅広い分野への応用を目指す。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
第1弾のVR用データグローブはヤマハのセンサー技術をベースにクレッセントと製品化した。両手の指関節にはセンサーが計20個。従来のデータグローブと比べ薄くてフィット感が高く、製造業の作業支援などへの活用が期待される。

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