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北陸新幹線「京都―新大阪」南回りルート決定に竹の子パワー?

かつての陸の孤島も…
 京都府南部、大阪や奈良と接する山城地域は古くから「山城たけのこ」の産地。毎年この時期に地元農家が直売所を開設し、5月はじめまで朝掘りの春の味が楽しめる。

 突然、この竹林から新幹線駅の計画が芽を出した。与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームは北陸新幹線計画で最後まで残っていた京都―大阪間について南回りルートを採用。中間地点となるJR片町線松井山手駅(京都府京田辺市)付近に新駅設置を決めた。

 この駅名から場所が思い浮かぶ人は、関西でも少数派ではないか。京阪電気鉄道が大規模住宅地開発を計画し、資金を拠出してJRに設置してもらった請願駅。1989年に開業した。

 それまでの片町線は気動車主体のローカル線だった。88年に「学研都市線」の愛称が決まり、翌年、大阪市内から松井山手駅まで複線化完了。97年のJR東西線開業で神戸方面とつながり、正式名称の由来である始発の片町駅もなくなった。

 かつての陸の孤島は今や鉄道だけでなく第2京阪、新名神など高速道路の整備が進み、交通の要衝に様変わり。“雨後のたけのこ”のように住宅、量販店、工場の集積が進む。利便性向上は結構だが、本物を味わえる豊かな自然は大切にしてほしい。
                 
日刊工業新聞2017年3月29日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
昨日たまたま竹の子は何で包めば、おいしさや風味が損なわれないかという話をしていた。真空パック、新聞紙…。一長一短があるという。沿線はせっかくの新幹線効果を損なわないようにしないと。

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