奥尻島で地熱発電、その大いなる可能性

地方活性化へ"塵も積もれば山となる"

 越森石油電器商会(北海道奥尻町、越森修平社長)は、北海道南西部の日本海に位置する奥尻島で地熱発電事業に乗り出す。地熱発電所を建設し、7月末の稼働を予定する。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)を活用する。小さい熱量で媒体を蒸発させてタービン発電機を動かせる「バイナリー方式」を採用。離島で同方式を用いた地熱発電は、国内で初めてだという。

 越森石油電器商会は地熱発電を生かし、奥尻島の新たな魅力を発信することで、地域活性化につなげたい考えだ。

 「奥尻地熱発電所」(仮称)は定格出力250キロワットで、200キロワット分を北海道電力に売電する。年間の売電収入は6400万円を見込む。

 発電システムから出る排熱は同町と連携し、漁業や入浴施設などへの二次利用も検討している。事業の投資額は4億4000万円。日本政策金融公庫函館支店、道南うみ街信用金庫(北海道江差町)、北洋銀行の融資団から全額を調達する。

 奥尻地熱発電所は同島内の井戸から、熱水を毎時約45トン取り出す。バイナリー方式を活用し、取り出した熱水は熱交換器を使って代替フロンを暖めて、沸点の低い代替フロンから発生した蒸気でタービンを回して発電する。

 井戸はかつて新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が試掘したもので、現在所有する奥尻町から借りて使用する。

 越森石油電器商会はこれまで、2014年に石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の補助金を活用して噴気試験を実施するなど、実用化に向けて技術的な確認などを進めてきた。

 越森社長は「地熱発電から、(奥尻島内外の)交流人口を増やすため、地域の独自性につなげたい」と話している。

日刊工業新聞2017年3月24日

永里 善彦

永里 善彦
03月25日
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 各国の地熱資源量を見ると、米国(39,000MW)、インドネシア(27,000MW)に次ぎ、日本は世界第3位(23,000MW)。世界有数の地熱資源国にも拘らず、2015年の発電設備容量は、日本(544MW)は、米国(3,596MW)、フィリピン(1,917MW)、インドネシア(1.401MW)、アイスランド、ケニア等の後塵を拝し、世界第10位である(JOGMEC資料)。
 この膨大な未利用の資源を活用したい。政府は長期的な観点から地下深部に存在すると考えられている高温・高圧の水「超臨界水」を地上にくみ上げ、その蒸気でタービンを回す「超臨界地熱発電」を検討している(1/20日刊工業新聞電子版)。是非進めてほしい。
 一方、地方活性化の観点からは、発電量が少なくても地熱発電は魅力的である。排熱を地元で利用ができるし観光資源としてインバウンド効果も期待できる。奥尻島の地熱発電はささやかな分散型電源だが、各地にできれば発電量も"塵も積もれば山となる"と期待したい。

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