パナソニックは次世代コックピットの覇者になれるか

スペインの車部品を傘下に。今年からシステム納入始まる

 パナソニックは21日、スペイン自動車部品メーカーのフィコサ・インターナショナル(バルセロナ市)への出資比率を2017年4月末に現在の49%から69%に引き上げ、連結子会社化すると発表した。電子化が進む自動車業界では、両社が手がける電子ミラーやインターネット接続用通信モジュールなどの採用が急ピッチで進んでいる。フィコサを連結化して車載用コックピットシステムの事業展開を加速する。

 フィコサ・インバージョングループからフィコサ株の20%取得する。パナソニックとフィコサは車載カメラなど競合分野では、独禁法の関係で協業を深められずにいた。ただ共同開発した電子ミラーは17年内にも搭載車が市場投入される見通し。カメラを含む車載用コックピットシステム事業を一体的に展開する体制が必要だった。

 フィコサはサイドミラー世界3位。欧米自動車メーカーに販路を持つ。15年12月期売上高は約1350億円。パナソニックは15年にフィコサ株の49%を取得し業務提携した。

日刊工業新聞2017年3月22日



「死亡事故ゼロにも貢献したい」


 パナソニックが車載事業で攻勢を強めている。複数の自動車メーカー向けで2017年から次世代コックピットシステムの納入が始まるほか、資本提携先のスペイン・フィコサとの共同開発品も電子ミラー含めて4件の受注を獲得。先進運転支援システム(ADAS)開発は画像処理、通信、人工知能といった強みの技術を掛け合わせ、時速40キロメートル以下の中低速域で存在感を発揮する戦略だ。車載事業担当の柴田雅久常務役員に展望を聞いた。

 ―ナンバーワンの車載コックピットサプライヤーが目標です。
 「培った家電技術を核に家、住宅、流通小売り、公共、飛行機、自動車の各領域で人に優しく、ストレスのない空間を作るのが目標だ。カーメーカーからもいろいろ話を頂く。運転者や乗員が快適に移動できる次世代コックピットで、死亡事故ゼロにも貢献したい」

 ―次世代コックピットシステムとは。
 「カーメーカーと共同開発中のリナックスやアンドロイドベースの統合システムが完成しつつある。ヘッドアップディスプレーやセンターディスプレー、メーター、電子ミラー、運転者モニタリングシステムなどの支援系と、マルチメディア系を統合し、スマートフォン連携で車外ともつながる。直感的な情報認知や運転操作の実現で運転者を支援する」

 ―ADASや自動運転技術開発の進行は。
 「カーメーカーはドライビング支援だが、当社はドライバー支援。車周囲を監視し、車室内の運転者の眠気や疲労度なども検知する。人や車の混雑時でも安全走行でき、バック走行での危険時の緊急ブレーキ、正確な自動駐車などを新設の試験場で検証中。カメラ映像で、霧や大雪環境下でも鮮明にできる画像処理技術も開発した。開発するシステムは耕運機や搬送車両など、タイヤがつくものには何でも応用できる」

 ―車載ミラー大手フィコサと協業状況は。
 「フィコサのヘッドライト洗浄システムを車載カメラに応用する。事故時の緊急通報や、盗難車の位置を追跡できる通信ユニットや、電子シフターなど、電子ミラー以外の商材もかなり良い。欧州系への次世代コックピット提案では、フィコサの販路も活用する」
 
 ―自動運転のコミューター(超小型車)を試作しました。
 「グループの知見を集めた。夢があり、技術者は生き生きしている。ADASや統合システムなどの評価、路上カメラとの路車間、車車間、歩車間の通信の実証にも活用する。20年には特定施設から駅など、限定エリア内を循環する“ラストワンマイル”領域向けの自動運転コミューターのOEM供給や、システム販売を行いたい」
【記者の目】
 車載事業の開発拠点近くに設けた佐江戸車両試験場(横浜市都筑区)は都心に近く、顧客からも好評だ。試作車だけでなく、多様なカーメーカーの車両実証が絶えず行われる。車載事業の受注状況を見ると、17年後半から大きく伸び、19年以降は世界各地で増強投資が必要になる。ドライビングではなく、家電で培った強みが生かせるドライバー支援を重視する施策は、パナソニックらしい提案だ。
(聞き手=大阪・松中康雄)

日刊工業新聞2016年12月15日


明 豊

明 豊
03月22日
この記事のファシリテーター

パナソニックがコックピットに参入するという記事を最初に書いたのは自分だった。2010年4月掲載、当時、車載事業の担当役員だった津賀さん(現社長)の取材で聞いたもの。あれから7年、曲折がありながらも着実に開発・製品化を積み上げてきている。カルソニックが日産傘下から離れることになり、この分野もまだまだこれから再編がありそう。

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