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高校発「魚醤」を市場へ。栃木銀行、商品開発を支援

高校発「魚醤」を市場へ。栃木銀行、商品開発を支援

馬頭高のサケ、アユを原料にした魚醤

 栃木銀行は、栃木県内の高校生による地域食材を使う商品開発の支援を本格化する。サケやアユの「魚醤(ぎょしょう)」の1年以内の商品化を目指す県立馬頭高校(那珂川町)に地元の大学を紹介し、パッケージやデザイン面で協力する。流通企業などへの橋渡しも行う。身近な「社会体験」を支援することで起業家精神やコミュニケーション力を養い、地域活性化につなげる。

 馬頭高は全国で唯一、内陸部の高校で水産科を持ち、魚醤を実習で製造している。学区を流れる那珂川水系は水質が良く、サケが遡上(そじょう)する。ただ産卵後に息絶えたサケの臭いが地域の問題となっている。漁協から引き取って加工品にすることは、その解決策と期待されている。

 栃木銀は馬頭高に、開発品の認知度を高めるため商談会への出展を提案したのを機に支援に着手。大手バイヤーからは品質面で高い評価を得たものの、パッケージの改善やレシピの提案などの工夫が必要と指摘された。そこで商品の課題を「商品力・プロモーションの向上」「販路先の確保」に絞り、馬頭高への提案・対応をスタートした。

 商品力の面からは容器のデザインを魅力的なものにすべく、文星芸術大学(宇都宮市)などのアドバイスを受けた。さらに地元飲食店やスーパーマーケットなどと勉強会を行うなど、2017年度中の商品化に向けた取り組みが加速している。

 栃木銀は16年に日本政策金融公庫主催の「アグリフードEXPO」のブースへの県内7高校の出展を支援。これらの高校は、地元産小麦粉や牛肉などを活用した「あげピザ」、地元特産のカンピョウを使った中華まんじゅうなどを手がける。

 こうした商品開発への支援は「地方創生は人づくりが基本」(和南城憲一常務)との観点から、法人営業部を中心に展開する。2年前に商品化し、大手コンビニエンスストアでの販売に成功した県立高根沢高校(高根沢町)の「高根沢焼ちゃんぽん」の支援事例をベースに、高校生への支援を充実していく。
日刊工業新聞2017年3月15日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
高校生のビジネスプランコンテストなどを見る機会がありますが、高校生のアイデアは大学生とはまた違った鋭いものが結構あります。必ずしもゴールとして商品化したり、起業したりしなくても、地元就職の人材力を高める意味でも高校生への起業教育は重要だと感じます。

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