医薬品や医療機器の審査に科学的知見をどこまで取り込めるか

「18年にもレギュラトリーサイエンスセンターを設置する」

 医薬品や医療機器に革新をもたらす上で何が必要か。承認審査期間の迅速化を実現してきた医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長に聞いた。近藤理事長は医療の研究成果を実用化する際、最新の科学的知見から品質や有効性、安全性を予測、評価、判断する「レギュラトリーサイエンス」について、2018年にも新組織を設ける考えを示した。

 ―審査の迅速化が進み、日本で承認・使用できるまでに時間がかかるドラッグラグやデバイスラグがほぼ、解消しました。
 「承認申請前の事前相談を徹底的に実施してきた。開発の初期から相談をじっくり行い課題を整理すれば、審査を効率化できる。今後は審査の質を高めることが課題だ。レギュラトリーサイエンスを推進し、合理的な医療を支援していきたい」

 ―具体的な取り組みはありますか。
 「科学委員会には、各分野の研究者が参加している。各領域の第一人者から話を聞くことで、審査官が自信を持って判断できるようになる。18年にも仮想の研究所としてレギュラトリーサイエンスセンターを設置し、エビデンス(科学的根拠)に基づいた医療環境の創出へつなげたい」

 ―電子申請データの集積、活用に向けての考え方は。
 「医薬品の安全対策に活用するため、厚生労働省の事業として10拠点、23病院から成る医療情報データベース基盤整備事業(MID−NET)の構築を進めている。目的に応じて抽出・分析したデータを統合して解析できるシステムの構築を図り、18年度の本格稼働を目指している」

 ―16年4月に設けたアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの現状は。
 「日本の規制などの情報を海外へ積極的に発信し、理解を促している。北陸支部でGMP(医薬品製造・品質管理基準)研修などを行い、参加者の反応も上々だ。多くの国が参考にして、日本の考え方が理解され、普及していくのが理想だ」

 ―PMDAの人員体制の見通しは。
「現状は870人ほどだが、2018年度末に1065人まで増やす計画だ。ただ、足元は新薬の承認申請が伸び悩んでおり、増員ペースがやや鈍る可能性がある」
近藤理事長

日刊工業新聞2017年3月16日 05:00)

村上 毅

村上 毅
03月20日
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優れた医薬品・医療機器の速やかな市場投入に向けて、PMDAは審査の質の向上に取り組んできた。国際的な共同治験の重要性が高まる中で、今後は国際連携の強化が重要になる。これまで培ってきたノウハウをいかして、世界でのリーダーシップを期待したい。

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