川重が航空機サプライヤーに利益計画の開示を要請する意図

長い投資回収期間を見据え協力体制を強化

 川崎重工業は航空機用ジェットエンジン事業のサプライヤーに対して、利益計画の提示を求めることを決めた。航空機エンジンは投資回収に15―20年がかかるため、サプライヤーが長期に適正利益を得られる体制の構築を促し、川重の事業継続計画(BCP)につなげる。航空機需要の拡大に伴う急激な増産局面に入る中、優良なサプライヤーを確保する。

 川重は見積もり段階で事業から得られる利益計画とその裏付けの提示を原則求める。一般的に開示に難色を示すことが多い「事業利益」をサプライヤーの選定基準に導入し、サプライチェーン管理の精度を上げる。

 サプライヤーが想定する各工程の設備や作業時間、製造立ち上げ、量産、納入に至る明細を川重が精査。その上で、事業収益計画の妥当性を判断する。

 保有設備情報やBCP、国際的な認証取得状況などの開示も求める。既存の取引先には過去の量産状況、コストテーブルにおける見積提示価格の健全性・優位性、人的リソース情報も評価基準とする。

 取引開始後、川重とサプライヤーが協力して実施するVA(価値分析)/VE(価値工学)などで生まれる利益は折半する。サプライヤーと、Win―Win(ウィン―ウィン)の関係を徹底する方針だ。

 川重は英ロールス・ロイスや米プラット&ホイットニー(P&W)の国際共同開発に参画しており、2020年度以降には生産台数が6倍以上に膨らむ見通し。航空機エンジン事業のサプライヤー数は約300社だが、BCPとして調達先を増やしている。

 16年1月には、独自の企業カルテを収納したサプライヤーデータベース「iMapシステム」の運用を開始。依頼部品を想定してより詳細なリスクや能力を評価する「スマートチェックリスト」も公開している。

日刊工業新聞2017年3月16日

長塚 崇寛

長塚 崇寛
03月18日
この記事のファシリテーター

20年程度の足の長い航空機エンジン事業。川重はサプライヤーに利益計画を提示してもらうことで優良なサプライヤーを確保する狙い。主要協力会社とは20年までに自社工場と協力会社をネットワーク化し、社内外の生産計画や進捗(しんちょく)を共有する仕組みを構築する。サプライチェーン全体で効率化をいかに図れるかが、エンジン事業の収益性に大きく左右する

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