紫外光から近赤外光まで広帯域を吸収!活性効率900倍の光触媒

阪大が精製、エネルギー変換効率の向上で期待高まる

 大阪大学産業科学研究所の真嶋哲朗教授らは、紫外光から近赤外光に至る広帯域の光を吸収できる光触媒を精製した。ナノサイズ(ナノは10億分の1)の酸化チタン結晶の集合体と円柱状の金粒子を合成し、通常の酸化チタンと比べ触媒活性効率を800―900倍に高めた。太陽光エネルギーを利用し、水から水素を生成する人工光合成で用いる。エネルギー変換効率向上に役立つ技術としての活用が見込まれる。

 真嶋教授らは、まず酸化チタンの結晶構造を改良した。ナノサイズの酸化チタン結晶を規則正しく並べ、マイクロメートルサイズ(マイクロは100万分の1)の集合体を作成し、結晶間で効率良く電荷の移動が起きる構造にすることで活性効率を高めることに成功した。

 次に、金の持つ光照射によって材料中の電子が集団振動する「プラズモン共鳴」という性質を利用し、可視光や近赤外光を含む広帯域の光の吸収を目指した。より幅広く光を取り込めるよう、球状の金粒子を界面活性剤によって径が約10ナノメートル、高さが約40ナノメートルの円柱状に形状を変えた。

 金粒子を酸化チタン結晶の集合体基板の表面に付着させることにより、広帯域の光吸収が可能となり、触媒活性能力が大幅に向上することができた。

 燃料電池車(FCV)などに使う水素の効率的な生成を視野に、日本では太陽エネルギーを利用する人工光合成の研究が盛んだ。酸化チタンは地球上に豊富に存在し、光触媒として用いられる。家の外壁や食品に使われるなど毒性も低い。だが、一部の領域の紫外光しか吸収できず、触媒活性効率で課題が残っている。

日刊工業新聞2017年3月17 日

宮里 秀司

宮里 秀司
03月17日
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もともと酸化チタン結晶を使った光触媒は効率が低いため大幅な効率アップとなりますが、この技術が実用化されれば、省エネに大きく貢献しそうです。

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