今年の飲料業界は緑茶戦争!王者「お~いお茶」に迫るのはどこだ

「伊右衛門」「生茶」「綾鷹(あやたか)」個性競い刷新

 成長する国内の緑茶飲料市場で、飲料大手のつばぜり合いが熱い。3月に入り、サントリー食品インターナショナルとキリンビバレッジが、それぞれの主力商品である「伊右衛門」と「生茶」の中身を刷新した。日本コカ・コーラも「綾鷹(あやたか)」を20日に刷新し、発売する。ペットボトルの緑茶飲料は“急須でいれたお茶”を意識した各社の商品戦略が消費者に支持され、潜在需要を掘り起こした。飲料大手の主導権争いが、激しさを増している。

 サントリー食品インターナショナルは、ここ数年の緑茶飲料市場の伸びを「40代以上の中高年がけん引している」と分析する。同社は中高年層の緑茶に対する志向について、若い世代に比べて急須でいれた緑茶へのこだわりが強いと見る。

 このため「ペットボトルの緑茶を飲むことに抵抗があった」が、各社の新商品競争による味の向上や、急須がいらない簡便性もあって「緑茶飲料にシフト」しているととらえる。

 ただ、中高年者の理想はあくまで“急須でいれた緑茶”。サントリー食品は伊右衛門の刷新で、急須でいれた深蒸しタイプの一番茶風味を追求。一番茶の使用量を増やすとともに、従来の抹茶微粒子に、煎茶粒子を加えることで商品力を引き上げた。

 外装も緑色のグラデーションデザインに変更し、茶葉の雰囲気を出した。2017年は伊右衛門ブランド全体で、前年比3%増の5680万ケース(1ケースは500ミリリットルの24本換算など)を目指す計画だ。

 キリンビバレッジも、生茶の製法を見直して刷新した。生茶は16年3月に製法を見直しし、香りや余韻などを高めた結果、販売数量が前年比44%増の2620万ケースに急増した。今回は味のポイントである微粉砕茶葉をさらにていねいに仕上がるよう、粒径や配合比率などを改良するなど、製法を磨いた。

 同社は今回の生茶の刷新で、自動販売機専用の430ミリリットルと店舗販売用の300ミリリットルボトルの外装も、グラデーションの共通デザインに統一した。並行して、消費者に緑茶の味の違いを紹介して緑茶への興味を促す「生茶ファクトリーカフェ」も全国展開する。

 生茶の販売促進にとどまらず、緑茶文化をテコに需要を喚起する“コト消費”の掘り起こしが狙いだ。17年の生茶の販売目標は、同8%増の2840万ケースに設定した。

 日本コカ・コーラは綾鷹の刷新で、急須でいれた味わいを徹底するため、京都・宇治の老舗茶舗である上林春松本店の協力を得た。上林春松本店の茶葉を組み合わせる「合組(ごうぐみ)」と呼ばれる技術により、一番茶が持つうまみや渋み、苦みの調和を重視した。

 ボトルは新形状の「湯呑み型ボトル」を採用し、緑茶の風味がより感じられるようにした。20日から東京・六本木ミッドタウン(東京都港区)で大花見茶会のイベントを開き、新商品の味をアピールする。

 緑茶飲料は業界推定で、16年に前年比4%伸びた。高齢化、無糖や健康志向の高まりに加え「各社が新商品に力を注ぎ、市場が活性化したことも大きい」(キリンビバレッジの山形光晴マーケティング部長)とみる。17年も新商品投入や刷新の効果で、成長を持続できるか。緑茶飲料大手の勢力争いも含めて、正念場だ。
(文=嶋田歩)

日刊工業新聞2017年3月16日

明 豊

明 豊
03月16日
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緑茶は伊藤園の「お~いお茶」が頭一つ、二つ抜けて君臨する。去年はキリンの「生茶」がヒット、各社が競い合うことで市場全体はまだまだ伸びる。

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