建設業界は本当に労働時間を短縮できるのか

発注者の理解欠かせず。「これを逃すと改革の機会はしばらくない」

 働き方改革の議論が盛り上がりをみせる中、建設業界の対応が問われている。建設業は労働時間が長く、週休2日制をまだ実施できていないのが現状だ。労働時間を制限した場合、工期の長期化やコストアップが避けられない。発注者の理解を得られなければ到底、労働時間の短縮は難しい。だが、今是正しないと将来は人が集まらず、建設業が成り立たなくなる可能性がある。労働時間の短縮に向け、さまざまな手を打つ必要がある。

 「適用除外とされている時間外労働の上限規制の見直しを行った方が、将来の建設業にプラスになるのではないか」。石井啓一国土交通相は3日に開いた建設業の団体との意見交換で、長時間労働の是正などについて、各団体のトップにこう呼びかけた。

 建設業は、現場で週休2日制をほとんど実現できていないのが実情だ。残業についても、「36協定」で定める上限「月45時間、年360時間以内」の適用を除外されている。

 政府の働き方改革実現会議(議長=安倍晋三首相)は、残業の上限規制を見直し中だ。建設業など適用除外の業種・業務については、実態を踏まえて対応の在り方を検討する、としている。

 建設業界としても、長時間労働の常態化は好ましくはない。技能労働者は高齢化により、今後10年で100万人程度が離職する公算が大きい。若者が他業界との比較で、建設業への就職を避けるようになれば、将来、建設業が成り立たなくなる。

 日本建設業連合会(日建連)の山内隆司副会長(大成建設会長)は「このチャンスを逃すと改革できる機会はしばらくない」と、長時間労働の是正に前向きな姿勢をみせる。

 とはいえ、その実現には大きな壁が立ちはだかる。労働時間の短縮は建設工事の長期化につながり、産業界や国民生活に大きな影響が生じかねない。発注者の理解がなければ、実施は難しい。

 特に、現在は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、関連施設の整備や再開発プロジェクトが活発化している。工期の遅延が許されない状況下で、労働時間の短縮は困難なのが現状だ。

 このため、日建連は石井国交相に、時間外労働の上限規制の導入について、東京五輪以降、相当の期間を置いて段階的な実施を要望した。週休2日については、行動計画の策定や適正工期での受注徹底で実現する考えだ。

日刊工業新聞2017年3月13日

日刊工業新聞 記者

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03月16日
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労働時間の短縮は、建設会社の業績が上向いている今、取り組まなければ機を逸する。官民が連携し、進める必要がある。
(日刊工業新聞第ニ産業部・村山茂樹)

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