金属・化学・セメントなど主要素材、在庫調整進む

先高観で駆け込み需要。一部で在庫積みます動きも

 金属や化学品、セメントなど主要素材の在庫調整が進んでいる。円安基調などを背景に生産活動の回復が定着してきている上、原料価格上昇による先高観で駆け込み需要も増えているため。1月末の在庫量は前年同月末を軒並み下回っている。今後のもう一段の需要増を見越し、セメントなどでは在庫を積み増す動きも出てきた。

 鉄鋼製品の指標となる薄鋼板3品の1月末在庫は、前月末比でこそ5カ月ぶりに増えたが、目安となる400万トンを5カ月連続で下回った。

 出荷は自動車向けを中心に堅調。「引き合いは強い。必要な数量に対し、すべて受けられない」(新日鉄住金関係者)としており、在庫の減少局面はまだ続きそう。建築向けのH形鋼も鉄骨造の着工水準が高く「1月末の在庫は増えているが、なお一部では“歯抜け”在庫が存在する」(新日鉄住金幹部)状況だ。

 ステンレスはさらに需給が逼迫(ひっぱく)。納期遅れも発生し「在庫をうまく回しながら、最終ユーザーに迷惑をかけないようにする」(新日鉄住金ステンレス)とうれしい悲鳴を上げる。

 セメントも補正予算の執行や東京五輪・パラリンピック関連工事の本格化など、需要増への期待感が高まっている。1月末在庫は前月末比で2カ月連続増となったが、2016年11月に約3年ぶりに400万トンを割り込んだばかり。

 「タイトな状況になっている」(セメント協会)ことに変わりはない。17年度は4年ぶりに内需が増加に転じると予想されており、在庫を積み増す動きが続きそうだ。

 ポリプロピレンなどの汎用樹脂は原料のナフサ価格の急騰を背景に、先高観が台頭。さらなる値上がりを見越し、駆け込み需要が一部で発生、在庫減につながっている。

 前月末比で増えているのは、工場の定期修理に備えた積み増しによるもの。エポキシ樹脂も電子部品や半導体に用いる封止材が堅調で在庫は低水準にある。

 アルミニウム圧延品は飲料缶や自動車部品向けの出荷が好調で、1月末在庫は14年2月末以来の3万トン台まで低下。関係者は「コーヒー用飲料缶が、鉄からアルミのキャップ付きボトルに置き換わっていることが大きい」と見ている。それでも、アルミメーカーは一定の生産量を維持しており、不足感が強まる可能性もある。

 段ボール原紙の国内メーカー在庫も前年同月末の水準を下回る。最大顧客である加工食品業界の需要が依然、堅調なのに加え、自動車生産の回復が波及してきたものと見られる。

 前月末比で増えたのも季節パターンに沿った動きで「16年12月末の在庫量は前月末比5万トン強減っている。それを考えても問題ない」(日本製紙連合会)としている。

 他方、化学繊維は中国輸出が大部分を占めるアクリル繊維がだぶつき、余剰感がやや広がりつつある。中国での衣料品生産が落ち込み、この影響をもろに受けた。「中国市場の回復には時間を要する」(業界関係者)との見方が多く、メーカーも生産量を落としている。
             

日刊工業新聞2017年3月13日

明 豊

明 豊
03月14日
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内需は当面底堅いでしょう。あとは特に中国経済の動向がカギを握りますね。

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