商社が後押しする「畜産IoT」革命

高齢化・人手不足解消へ、ベンチャーとも連携

 大手商社がITベンチャー企業と組んで、畜産業向けIoT(モノのインターネット)分野の開拓に乗り出している。飼料子会社の販売網などを活用し、家畜の管理システムを拡販する。畜産農家の高齢化といった課題や、それに伴う生産の効率向上が求められる中、IoT化を促すことで国内畜産業の競争力強化を後押しする。

 伊藤忠商事はこのほど、伊藤忠飼料(東京都江東区、藤嶋照夫社長)を通じて、養牛監視サービスを手がけるデザミス(東京都江東区)と業務提携した。デザミスの技術開発力と、伊藤忠飼料の販売網・飼育管理ノウハウを組み合わせ、サービスの普及拡大を目指す。

 将来は、ほかの家畜向けサービスの開発も視野に入れる。デザミスが手がけるサービス「ユーモーション」は、牛の首にセンサーを装着し、動きの変化や行動に関する同社の知見を元に行動様式を「採食」や「飲水」「発情」など8通りに分類。深夜など観察が難しい時間帯でも行動を自動で記録し、把握できるため、農家の作業負担軽減や病気・障害の早期対策につなげられる。

 国内の畜産業では農家1戸当たりの飼育頭数が年々増え、管理負担が高まっている。一方で中小規模の農家が多いため、IoT化があまり進んでいないのが現状だ。

 伊藤忠飼料は、飼料販売などで農家と接点を持つことから「我々がアプローチすることで農家の方々も話を聞きやすい」(業務部担当者)と見ている。また、飼料の販売面でも、IoT化を支援できる点を訴求することで「我々の顧客開拓にもつながる」(同)効果も見込める。

 兼松は飼料子会社の兼松アグリテック(千葉県松戸市、加藤勇社長)と15年に、養牛管理システムの開発を手がけるファームノート(北海道帯広市)に、三井物産は16年に無線通信サービス会社のソラコム(東京都世田谷区)に、それぞれ出資参画した。ファームノートは、ソラコムのクラウド基盤を活用し、牛の状態を管理できるサービスを提供しており、現在約20万頭の管理頭数を誇る。

 畜産業界でIoTの普及が進めば、従来は高齢者の経験や勘に頼っていた家畜管理を可視化でき、人手不足や後継者不足といった課題解決の一助となる。
(文=土井俊)

『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
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日刊工業新聞2017年3月10日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
03月12日
この記事のファシリテーター

兼松の濱崎雅幸執行役員は、「日本の優れた酪農・肥育管理の効率を高めることで、日本の畜産農家がより強くなる」と期待する。
(日刊工業新聞第ニ産業部・土井俊)

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