デンソーと豊田織機、下請け取引を現金払いに統一

適正化へ率先、業界に広がる可能性

 デンソーと豊田自動織機は9日、4月仕入れ分から下請け取引の支払い条件を現金支払いに統一するとそれぞれ発表した。政府は取引環境の改善を通してサプライチェーン全体の競争力を底上げし、大企業だけでなく、下請け中小企業の賃上げも実現する好循環を目指している。現金取引による資金繰りの改善効果は大きく、裾野が広い自動車業界が率先して動くことで他にも広がる可能性が高い。

 両社が現金払いに統一するのは資本金3億円以下の下請法対象会社。デンソーは全仕入れ先の約半分、豊田織機は全仕入れ先1260社のうち755社が各対象となる。豊田織機はうち356社と手形取引しているが、すべて現金払いとする。

 経済産業省は2016年9月に「未来志向型の取引慣行に向けて」(通称・世耕プラン)を公表。親事業者、下請け事業者の双方の付加価値向上につながる自主的行動計画の策定を各業界に要請した。日本自動車工業会(自工会)は16年12月に計画案をまとめた。

 自動車産業は下請代金についてすべて現金取引の割合が3割強にとどまり、改善余地が大きい。デンソーなどの表明で今後、2次以下のサプライヤーへも波及するとみられる。

日刊工業新聞2017年3月10日

原 直史

原 直史
03月10日
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かつては、売掛金のサイトは短く、買掛金は長く が担当者の腕の見せ所だった。それが変わろうとしている。仕組みのどこかに過重な負担を掛ける「しわ寄せビジネス」がもたない時代、変化すべき時に来ている、これもその一つの表れだと見てとれる。

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明 豊
明 豊
03月10日
政府が下請け取引の適正化に乗り出している。例えば支払いに手形を使う場合、振り出しから支払いまでの期間が長いと、下請け事業者にとっては資金繰りの負担となる。
 中小企業庁が実態把握のために実施している「発注方式等取引条件改善調査」では、下請代金の受け取り方法が「すべて現金」と回答した下請け事業者の割合は年々増加。2015年度には、59・0%に達した。一方で、手形の利用は減少傾向にある。支払う側の事業者が事務コスト低減を狙いに手形の利用を控えているほか、現金による受け取りニーズが中小企業に多いためだ。
 ただ、自動車や産業機械・航空機といった業界では依然、慣例として手形を使用するケースが少なくない。しかも手形の割引コストはほとんどの場合下請け事業者の負担とされているなど、改善の余地が残されている。

  

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