エアバスに秋波を送る“日の丸航空機”産業の狙い

ボーイング減産。次世代機開発に使える技術で思惑一致

 経済産業省とフランス航空総局(DGAC)は1日、都内で欧エアバスと日本企業の協力強化を支援する覚書に署名した。フランス政府を代表してシュバイツァー日仏特別代表は「民間航空機分野での産業交流促進を目的とし、2013年に始めた年に1度の対話が定着した。協力強化の新たなステージに入る」とあいさつした。

取引拡大 経産省が支援


 日系サプライヤーによるエアバス向けの部品供給は増加しているが、年間約10億ユーロ(約1190億円)にとどまり、ボーイング向けの5分の1程度とみられる。経産省は自動車やITなど他業界からの参画を促し、取引拡大を目指す。

 今回の覚書に基づき「日エアバス民間航空機産業協力ワークショップ」が設立される。井原巧経産大臣政務官は「広範な日本企業が、優れた技術を搭載した魅力ある航空機の実現に貢献できる。経産省としても全面的に支援する」と述べた。

 エアバス・ジャパンのジヌー社長は「日本は次世代機開発に向けた技術や研究開発、デジタル革新のような分野で協業を促進する主要な拠点」とした。
覚書に署名した経産省の糟谷敏秀製造産業局長㊧とダナ駐日フランス大使

リコーや関西ペイントなどが取引目指す


 リコーや関西ペイント、住友ベークライトが欧エアバスとの取引を目指していることが明らかになった。経済産業省と仏航空総局(DGAC)が共催し、3月1日に都内で開催される「日エアバス民間航空機産業協力ワークショップ」に参加し、エアバスの次世代機開発における技術ニーズを探る。経産省は航空機産業振興の一環として、米ボーイング向けに次いで太い商流の構築に期待を寄せる。

 エアバスは通信などを駆使した客室技術、ロボットによる自動組み立て、光ファイバーによる損傷検知技術、3次元(3D)プリンターの活用、環境対応塗装、油圧を代替する電動化技術などを求めている。

 リコーは飛行安定性を高める画像解析技術を、関西ペイントは環境性・耐久性の高い塗装技術を、住友ベークライトは軽量内装パネルなどを提示する見通しだ。また、産業技術総合研究所(産総研)はロボット技術での連携を目指す。

ボーイング中心の産業構造に変化の兆し


 日本の民間航空機産業はボーイングとの取引が中心となっている。特に機体構造については、三菱重工業や川崎重工業、富士重工業などが参画するなど実績は多い。

 エアバスと日本企業の取引は、ジャムコが炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製フロアアビームを、横河電機がコックピットディスプレーモジュールを、パナソニックが機内エンターテインメントシステムを納入するなど複数の企業が実績を重ねており、納入は増加傾向にある。

 ただ、ボーイング向けに比べると5分の1程度にとどまるという。今後、日本企業にとっては取引拡大の余地はあるとみられている。

 経産省はエアバスの要望に応じる形で、機体構造、ジェットエンジン以外への日本企業の参画を促すため、仏政府との連携強化を深める。今回のフォーラムでは自動車やITなど他業界にも呼びかけ、100社・団体超が参加する見通しだ。

日刊工業新聞2017年3月1日/2日

杉本 要

杉本 要
03月07日
この記事のファシリテーター

日本の航空機産業のボーイング依存は長年の課題。過去、エアバスの新機種の開発時に日本側は参画を求められたが、ボーイングの仕事を気にして断った経緯がある。今の時期にエアバスと日本の航空機産業が近づく理由はただひとつ、エアバスの次世代機開発に使える技術であるはずだ。現在、日本もボーイングの減産で苦しい時期にある。エアバスも機体開発のコストを分担して欲しいという気持ちを持っている。「日本好き」で知られるエアバスのブレジエCEOの在任中に何とか一つでも契約に結びつくことを願う。

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