業績は絶好調、日立は「国際電気」を本当に手放すのか

半導体製造装置が活況、来期も増益必至

 半導体製造装置市場が活況を呈している。日本半導体製造装置協会によると、2016年12月の日本製装置の受注額(3カ月移動平均ベース、輸出を含む)は、ほぼ10年ぶりの高水準である1649億円、BBレシオ(受注÷販売)は1・31となっている。旺盛な半導体製造装置需要を受けて、主要な半導体製造装置メーカーの製造能力は逼迫(ひっぱく)しており、業界全体が活況となっている。

 なぜか。第一に、フラッシュメモリーが全く足りない。フラッシュメモリーというのは電源を切っても記憶が消えない半導体で、パソコン用のメモリースティックはもとより携帯電話やスマホに大量に使われている。

 加えて、最近は省スペースと省電力が評価され、ハードディスクの領域を食ってサーバー用にも大量に使われ始めている。フラッシュメモリーメーカーは大型設備投資を計画しているが、とりわけ韓国のサムスン電子が積極的である。

 第二に、DRAMも供給不足となりつつあり、DRAMメーカーも17年は大型投資を敢行する見通しである。

 第三に、16年の半導体製造装置市場のけん引役だった台湾のTSMCの設備投資は高位安定している。米アップルのスマートフォン「iPhone7」に続き「同8」でも、TSMCがパッケージ技術の優位性から当該商談を獲得する可能性が高く、また、他のスマホ関連ビジネスも好調なためである。

 第四に、スマホではデュアルカメラの搭載率が急上昇している。そのため、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーの需要も大きく伸びており、設備投資も17年には復活する見通しである。

 さらに第五に、中国の半導体国産化も追い風となる。中国はメイドイン・チャイナ2025計画で製造業の高度化を目指しており、重点分野の一つが半導体である。中国半導体メーカーも17年に大型投資を敢行する予想である。

 さてこうした中、最先端フラッシュメモリーである3次元(3D)―NAND向けの投資による恩恵が大きい日立国際電気に注目してみたい。

 日立国際電気は国際電気、日立電子、八木アンテナが合併してできた会社で、事業の半分が半導体製造装置、あとの半分が映像無線ネットワークである。もちろん、ここでの注目点は半導体製造装置であり、主に酸化薄膜形成に使われる縦型熱処理炉と枚葉式熱処理装置がある。

 先ごろ発表された日立国際電気の16年10―12月期の半導体製造装置の単独受注は261億円となり、02年以降で2番目の高水準となった。けん引役となっているのはフラッシュメモリーで、DRAM、センサーなどの投資も期待できる。

 製造能力も富山工場(富山市)の新棟の稼働でさらに増加している。17年度は大幅増益が期待される。
(文・海津政信=野村証券 金融経済研究所シニア・リサーチ・フェロー兼アドバイザー)

【略歴】
75年(昭50)横浜市大商卒、同年野村総合研究所入社。97年野村証券に移り企業調査部長、金融経済研究所長などを経て現職。経済・マーケットについて新聞、テレビで意見表明するとともに多数の著書もある。


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明 豊

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日立も昔の経営陣が事業再編と称し、むりやり事業をくっつけて誕生した会社がいくつかある。国際電気や日立ハイテクはその代表格。昨年の秋頃に一度、日立が国際電気の持ち分を見直すという報道が出たが、この2社はかなり以前から半導体製造装置を軸に再編対象として議論されてきた。装置の事業は逆に今、売り時のような気もするが。

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