米国工場の離職率が3カ月で10ポイントも下がった自動車部品メーカー

ヨロズ・志藤昭彦会長に聞く「(トランプ政権は)当社にとってはチャンス」

 ―米州事業は部品の受注拡大による繁忙さゆえに、米国工場(テネシー州)の離職率が高まるなど課題があります。
 「テネシー工場の離職率は昨年10月頃まで16―17%で推移していたが、賃金を見直し、昨年末には離職率が10ポイント近く改善した。米国新工場(アラバマ州)も当初計画より1年以上前倒しで一部設備を稼働した。アラバマ新工場の稼働が本格化すれば、テネシー工場の負荷が減り、生産性は大きく改善する。2018年度の営業黒字化を目指したい」。

 ―17年度の設備投資計画は。
 「16年度並みの250億円前後を計画しており、高水準が続く。大分工場と設備製造のヨロズエンジニアリング(山形県三川町)への投資がメーン。大型プレス機や工作機械を新規導入する。海外は米国やメキシコ拠点への投資を継続する」

 ―北米自由貿易協定(NAFTA)見直し表明などトランプ米政権による事業への影響をどう見ますか。
 「当社にとってはチャンスと言える。米国とメキシコの両方に工場を持ち、アラバマ新工場は能力増強の余地もあり、完成車メーカーの動きに柔軟に対応できる。為替を見てもペソ安が進んでおり、ドル建ての仕事が増えた方が収益への貢献度が高い」

 ―メキシコ工場の稼働率が低下するリスクはありませんか。
 「メキシコはフル操業が続き、一部の部品製造を外注している。仮に米国に生産をシフトすることになっても外注分を取り込み、内製すればいいので問題はない」
             

(聞き手=下氏香菜子)

日刊工業新聞2017年3月3日



新工場、サスペンションを完全自動化


 ヨロズは米アラバマ州に建設するサスペンション部品の新工場の稼働時期を計画より約1年前倒しし、2017年春にも稼働する検討に入った。主要顧客の日産自動車をはじめ現地車メーカー向けの需要増で、テネシー州にある既存工場の供給余力がなくなっている。新工場の稼働を早めて既存工場の負荷を減らし、生産効率を高める。20年度に新工場での売上高を年間約135億円にする計画だ。

 新工場「ヨロズオートモーティブアラバマ(YAA)」はテネシー州の工場から車で約4時間の場所に位置するアラバマ州ジャスパー市内に建設中で、米国で二つ目の生産拠点となる。

 これまで18年初頭に生産を始める計画だった。だが、北米で日産、ホンダなど既存顧客向け部品の受注が大幅に増え、テネシー工場はフル稼働となったため、新工場稼働時期の1年前倒しを決めた。

 テネシー工場で供給する部品をYAAにも振り向けるようにし、生産の早期効率化を図る。また、YAAはIoT(モノのインターネット)技術を導入した最新鋭の生産拠点と位置づけており、ロボットを活用しサスペンションを無人で組み立てる完全自動化ラインを構築する予定。

 新工場の人員は最終的にテネシー工場の約6分の1となる約300人程度規模になる予定で、将来は同体制でテネシー工場の売上高の約半分を目指す方針だ。生産効率に加えてコスト競争力も高めていく。

 ヨロズは日産をはじめとする日系車メーカーや米ゼネラルモーターズ、独フォルクスワーゲンなどに部品を供給している。米州の売上高は15年度に全社売り上げの43・1%を占める810億8100万円と重要な市場となっている。
新工場の完成予想イメージ。IoT技術を取り入れ生産性を高める

日刊工業新聞2016年6月10日


日刊工業新聞 記者

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03月03日
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トランプ政権による通商リスク対し、チャンスと断言する志藤会長の発言には驚かされた。世界中で現地生産体制を築き、事業環境の変化に柔軟に対応してきたヨロズの底力が垣間見える。米州事業はIoT(モノのインターネット)を取り入れた米新工場の本格稼働で収益性が大きく改善しそう。巻き返しの時期はそう遠くない。
(日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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