需要低迷にMRJ延期、航空機サプライヤーが取る対応策とは

東明工業、買収戦略でCFRP加工の事業伸ばす

 東明工業(愛知県知多市、二ノ宮啓社長)は、米ボーイングの航空機や三菱航空機(愛知県豊山町)が開発中の国産小型ジェット旅客機「MRJ」の組み立てを担っている。組み立てには多くの人手が必要なため、単体従業員数は約1500人(2017年1月時点)を擁する。

 組み立ての仕事量はボーイングなどの生産ペースに左右される。現在はボーイングの大型機「777」の受注低迷で、同機種の生産ペースが落ちている影響を受けている。MRJは量産初号機の納入時期が18年半ばから20年半ばに延期されたため、量産が進んでいない。

 組み立てへの依存度を減らそうと、以前から炭素繊維強化プラスチック(CFRP)加工に取り組んできた。この事業を伸ばすことで、組み立て事業の売上高比率を下げることを狙う。二ノ宮社長は「組み立ての仕事が減っても、他の事業で売上高、利益を確保する」と意気込む。

 CFRP加工は買収した子会社が展開している。10年にピーエヌシー(長野県松本市)を、11年に茨木工業(大阪府茨木市)を買収した。両社は、複合材を積層して高温高圧で硬化させる装置「オートクレーブ」を持ち、航空機以外の業界からも仕事を獲得してきた。

 ピーエヌシーは川崎重工業のヘリコプター「BK117」の構造部材などを手がける。松本市に新工場を建設中で、6月に稼働する。オートクレーブは現在1基だが、2基増えて3基になる。

 茨木工業はオートクレーブを3基持つほか、熱可塑性CFRPのホットプレス成形も手がける。液晶基板の搬送ロボットのハンド部分や、気象レーダーのドーム部分など、航空機以外の業界からの受注が多い。

 二ノ宮社長はCFRP加工の今後について「航空機の装備品関連を受注したい」としつつ、「航空機にこだわらずに仕事を増やしたい」と目標を挙げる。CFRP加工により、仕事の幅を広げる。
子会社ピーエヌシーの熱硬化性CFRPを成形するオートクレーブ

<企業メモ>
1965年に創業し、航空機の一部を輸送する木箱の製作が祖業だ。現在も製品の検査・梱包(こんぽう)・輸送を手がける事業を持つ。材料疲労試験機などシステム製品事業も手がける。16年には、三菱重工業から船舶の走行中や停泊中の横揺れを軽減する装置の事業を譲り受けた。16年8月期の連結売上高は約150億円。
(名古屋・戸村智幸)

日刊工業新聞2017年2月27日

杉本 要

杉本 要
02月28日
この記事のファシリテーター

昨年まで続いた「航空機各社、増産投資」というイケイケドンドンの空気はどこへやら・・・。MRJの開発遅れで、量産工程にも影響が及んでいます。三菱重工は一部で「MRJのサプライヤーに他のボーイング機種の仕事を優先的に回す」こともやっているようですが、B777も減産しているため業界全体で仕事量が減る状況にあります。

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