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まだ趣旨が十分に伝わっていないけど、プレミアムな金曜日を!

デフレ的傾向を変えるきっかけのはずが、応援セールや特別価格ずらり
 官民一体で消費喚起を目指す「プレミアムフライデー」の1回目が、24日に実施される。企業からは「もらったチャンスを商売につなげたい」(外尾秀人コーセー取締役)、「余暇が増えれば売り上げにつながる」(星野晃司小田急電鉄専務)と期待の声が挙がっている。一方で、余暇を楽しむための「早帰り」の促進については、企業の動きは鈍い。

 プレミアムフライデーに賛同する企業などの公式ロゴ使用申請数は3000超となった。小売りや外食、食品や化粧品のメーカーなどは、限定商品の発売やイベントなどの開催に知恵を絞っている。

 みずほ総合研究所はプレミアムフライデーによる旅行消費の押し上げ額を、2000億―3000億円と見込む。宮嶋貴之主任エコノミストは「さらなる消費押し上げには認知度向上と、働き方の見直しが求められる」と指摘する。

 経済産業省はプレミアムフライデーを「デフレ的傾向を変えるきっかけ」と位置付けており、バーゲンはコンセプトが違うとしている。

 しかし、各社の施策には「応援セール」「特別価格」なども見られ、趣旨が十分に伝わっているとはいえない。外食業からは、退社のめどとされている15時は飲みに行くには中途半端な時間で、大きな効果は期待できないとの指摘も出ている。

 ある小売業幹部は「2カ月先の企画も決めた」と意気込む一方、こうつぶやく。「15時に退社する人がどれくらいいるのだろうか」。

「自宅で過ごす」49・9%


 調査会社のインテージ(東京都千代田区)によると、2月上旬時点で自分の勤務先でプレミアムフライデー実施が決まっている人は、わずか2・5%だった。

 早く帰ることができた場合の過ごし方については「自宅で過ごす」が49・9%でトップ、「特に何かをしたいとは思わない」も14・1%だった。政府や経済界の期待とはうらはらに、一般消費者の冷ややかな見方がうかがえる。

 プレミアムフライデーは月末の金曜に実施予定だ。3月は学校の春休み中、4月はゴールデンウイーク直前だ。みずほ総合研究所の高田創(たかた・はじめ)常務執行役員チーフエコノミストは「制度の定着は5月、6月の段階で受け入れられるかで見極めることになる」と分析している。
                  

(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2017年2月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
久しぶりに「吉野家」に行ってみようかな。21時過ぎかもしれないが・・

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