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太っていても大丈夫?適度な脂肪細胞は長寿に良い

糖尿病、高血圧、動脈硬化症・・共通点は「血管の病気」
 「アデイポネクチン」という言葉をご存知でしょうか。長寿の方々は「アデイポネクチン」が多いので、長生きに関連しているのではないかと言われています。この物質は脂肪細胞から分泌されています。そう聞くと健康診断で指摘される「内臓脂肪」や「皮下脂肪」を想像することでしょう。その通りです。

 しかし、単に脂肪が多ければよいと言うわけではなく、肥大しすぎた脂肪細胞が多くなった「内臓脂肪」では、その分泌量が減ってしまいます。ですので、脂肪細胞自体を正常な大きさにする必要があります。正常な大きさの脂肪細胞は免疫にとっても大切です。

 さて、糖尿病・高血圧・高脂血症・動脈硬化症の共通点は、「血管の病気」であるということです。血管は全身に張り巡らされています。

 大人の血管の長さは、全身で約10万キロメートル(地球を2回りする長さ)にもなりますが、その中の動脈が体のそれぞれの部位にきれいな血液を送ります。その大切な血管がもろくなったり切れてしまったり、どろどろになって詰まったり、内側から圧がかかり負荷がかかることが病気と関連しています。つまり、これを予防するには血管を丈夫にたくましくすることが大切です。

 その血管を修復してくれるのが「アデイポネクチン」なのです。「アデイポネクチン」の量は血液検査で測定することができます。日本人の約4割は遺伝的にこの値が低いと言われています。

 では、「アデイポネクチン」を増やすためには、何をしたらよいのでしょう。(1)有酸素運動をして内臓脂肪を減らす。(2)海藻類を食べる。(3)オスモチンを含む野菜や果物を食べる(オスモチンとは、植物が紫外線、有害物質、害虫、外敵などから自身を守るためにつくり出す物質です。トマト、ピーマン、キウイなどに多く含まれています)。(4)EPA・DHAを摂取する。(5)タバコを吸うのをやめる。

 これらは病院や診療所に通院するとよく言われることだと思います。でもその通りなのです。一度きりの人生です。ベッドの上で寝たきりにはなりたくないと誰もが思うでしょう。日本人の4割の方々は意図的に「アデイポネクチン」を増やす必要があるのです。

 有酸素運動と言ってもただ歩くだけでは面白くないと言う方もいらっしゃるでしょう。そのような方にはゴルフをお勧めします。ただ、カートには極力乗らずに、移動はてきぱきとするゴルフです。いかがでしょうか?
(文=竹川勝治・医療法人社団愛育会理事長 愛和病院院長)
日刊工業新聞2017年2月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「アデイポネクチン」という言葉は知らなかったが、書かれていることはだいたい世間一般でも共有されていること。うちの二人の婆さんもとても長寿だが、とにかく年をとってからも肉や鰻をよく食べる。さて自身は血糖値が高い。ゴルフもしないし運動する時間もあまりない。寝たままでも有酸素運動になる器具とか製品化されないだろうか。

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