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AIで薬の副作用判別、iPS細胞使い精度検証

東大が技術開発。抗うつなど16種類で
 東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らは、抗アレルギー薬や抗生物質などの薬剤が副作用でけいれんを引き起こすか判別する人工知能(AI)技術を開発した。14種類の薬剤をマウスの脳切片に投与して神経細胞の電位変化を計測し、機械学習で判別基準を作成した。人為的なバイアスのかからない解析手法としている。今後、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から分化させた神経細胞に適応し判別精度を高める。

 脳切片の局所電位変化を計測し、そのデータを4096次元のベクトルデータに変換し機械学習にかけた。けいれん誘発物質5種類と非けいれん誘発物質9種類で判別するための基準を求めた。別の2種類の薬剤を投与したところ誘発性を正しく予測できた。

 16種類の薬剤は抗うつ薬や紅茶成分など、作用メカニズムの違うものを選んだ。今後、試験する薬の種類を増やし、ヒト由来の細胞で検証することで信頼性を高める。ヒトでの臨床試験へ進むか判断する副作用評価の基準を目指す。

日刊工業新聞2017年2月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
副作用は個人差があるのでAIで精度が上がるのであればぜひ実用化に進んでほしい。

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