早稲田が宇宙で映像を投映する理由

衛星内に収納した樹脂膜に太陽電池を貼り付け影響探る

 早稲田大学理工学術院の宮下朋之教授と山川宏教授らは、宇宙空間でスクリーンに映像を投映する超小型衛星「かざぐるま」のプロジェクトを進める。地球周回軌道上で衛星内に収納した耐熱性の樹脂膜を展開し、衛星に搭載したプロジェクターで映像を投映、膜面の形状を把握する。膜面には薄膜の太陽電池を貼り付けてあり、宇宙での影響が分かれば、広い宇宙空間での太陽光による電力の利用拡大につながるかもしれない。

 衛星の材料や試験などの費用はおよそ450万円。衛星は1月、国際宇宙ステーション(ISS)から軌道に投入され、ミッションの実行を待つ状況だ。

 実証する展開膜には折り紙の技術を活用した。「らせん折り」と呼ばれる技術を利用した膜面の展開は、宇宙空間で初めて試すという。底辺の直径684・7ミリメートルのドーム状の局面を持つ膜を収納効率が良い円筒形状に折り、縮小率7・8%の直径53・4ミリメートルに縮め、11センチ×12センチ×11センチメートルの直方体の衛星本体に収納できた。

 宮下教授は、「衛星内の隙間を考えながら入れるのが大変だった」と振り返る。宮下教授らは2010年にも衛星を軌道上に打ち上げたが、電波を捕捉できずに失敗。今回、約6年半ぶりの再挑戦となる。「高度な宇宙センサーを積み、月などの探査機を作りたい」(宮下教授)と、次の宇宙開発段階に進むためにも、今回の実験を成功させたいと意気込む。
(文=冨井哲雄)
宇宙空間映像の投映実験を行う人工衛星「かざぐるま」

日刊工業新聞2017年2月3日

明 豊

明 豊
02月08日
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1月、超小型衛星の軌道投入を目的とした宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超小型ロケット打ち上げは失敗したが、今後も超小型衛星の開発が続くのは確実だ。100キログラム以下の超小型人工衛星は深宇宙への探索など、さまざまな用途を安価にできると期待が高まっている。

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