金融危機時に社長を継いだ息子が航空機の共同受注組織を立ち上げるまで

岐阜・各務原の大堀研磨工業所

 「航空機に参入して世界が広がった」―。大堀研磨工業所(岐阜県各務原市、大堀憲社長)の大堀社長は、参入の意義をこう強調する。米ボーイングの大型旅客機「777」などの部品研磨を手がける。

工作機械から航空機産業へ


 同社は工作機械のスピンドルの研磨を手がけるが、2008年のリーマン・ショックで受注が激減した。同年に父の後を継いだ大堀社長は、航空機産業への参入を決意。10年に航空宇宙産業の品質管理規格「JISQ9100」を取得し、展示会への出展など営業活動を始めた。

 アピールしたのは、要求精度のプラスマイナス1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で研磨できる技術力と品質保証。五感を駆使したベテランの職人技だ。航空機産業もその技術を評価し、近隣の関連企業から受注を獲得。12年には川崎重工業との直接取引も実現した。

 売上高に占める工作機械向けの比率は現在、5割まで下がっている。大堀社長は「(工作機械向けが)今後大きく伸びることはないだろう」と見通す。その分、航空機など他分野の伸びに期待する。航空機向けの比率は現在約15%で、20年には20%に高める計画だ。
大堀研磨工業所は指先の感覚を生かした高精度な研磨が武器だ

共同受注組織を結成


 受注拡大に向け、岐阜県内の中小3社と共同受注組織「岐阜航空機部品クラスター(GACCT)」を16年8月に発足させた。同10月に都内で開かれた「国際航空宇宙展」に出展し、活動を本格化させた。大堀社長は「クラスターを組んでいることが商談の前提条件の場合もある」と発足理由を説く。

 特徴はエンジン部品の受注に的を絞っていることだ。加工の難しい金属など、高付加価値の仕事を受注するためだ。4社だけで一貫生産は難しいため、他社にもクラスターへの参加や、幅広い形での連携を呼びかける。

 大堀研磨工業はリーマン・ショックという危機を、航空機産業への参入という契機に変えた。クラスター発足で、さらなる飛躍を目指す。
(文=名古屋・戸村智幸)

日刊工業新聞2017年2月6日



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杉本 要

杉本 要
02月07日
この記事のファシリテーター

 大堀研磨さんを取材させて頂いたことが何度かあります。重工メーカーの近隣に立地するという"地の利"をいかし、技術のアピールに成功した例だといえます。技術は、やはりアピールしてこそ認められるものですね。

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