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格安スマホ、競争激化。「カウントフリー」で差別化できるか

料金の安さに次いで、利用者が評価するポイントに
 格安スマートフォンの付加サービスとして、データ容量を消費せずに一部のコンテンツを利用できるカウントフリーを提供する事業者が増えている。フェイスブックなどの会員制交流サイト(SNS)に加え、音楽や動画をカウントフリーで楽しめる定額プランが出てきた。格安スマホ事業者間の競争が激しさを増す市場で独自色を出す手段になっている。

 「利用者から好評を得ている。対象となるコンテンツをどんどん増やしたい」。ビッグローブ(東京都品川区)の中野雅昭執行役員常務は、格安SIMサービス「BIGLOBE SIM」で提供する「エンタメフリー・オプション」の手応えを強調する。

 月480円(消費税抜き)で「YouTube」や「AbemaTV」といった一部の動画コンテンツなどをカウントフリーで楽しめる。スマホで動画を視聴する利用者の増加などを背景に、2016年11月に投入した。

 カウントフリーはSNSを対象とする事業者も多い。UQコミュニケーションズ(東京都港区)の「UQモバイル」もその一つ。

 SNSのカウントフリーを前面に出して宣伝・広告を展開する。毎月の料金の安さに次いで、利用者が評価するポイントになっているという。

 格安スマホ事業者がカウントフリーを展開する理由について、市場調査を手がけるMMDLabo(同渋谷区)の吉本浩司社長は「『料金を抑えたい』という格安スマホ利用者の基本的なニーズに合致するからだ」と指摘する。

 カウントフリーにより毎月のデータ容量を抑制できると料金を安くできる。このため事業者は消費者への訴求力が高いサービスとみて積極的に展開しているようだ。

 今後のカウントフリーをめぐってはLINEモバイル(同渋谷区)の動きが注目される。16年9月の事業開始当初からサービスの要に掲げて、LINEやSNSが対象となるカウントフリープランを提供した。1月には音楽配信サービスを対象としたプランの提供も始めた。

 嘉戸彩乃社長は「(カウントフリー対象は)需要が大きいコンテンツから始め、狭くて深いコンテンツに展開する」と説明する。動画やゲームなどのカウントフリープランの提供も検討していく。
(文=葭本隆太)
                

日刊工業新聞2017年2月3日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
格安スマホ市場においてカウントフリーのサービスは「差別化になる」(MM総研の横田英明取締役)のは間違いない。事業者間の競争が激しさを増す市場の中で対象コンテンツの拡大などが注目される。 (日刊工業新聞第一産業部・葭本隆太)

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