業界で大注目、“ウィングスライサー型ロボット”って何? 

不二越が開発、「現場の困りごとに対する我々の一つの解」

 2016年7月、産業用ロボット大手の不二越から斬新な姿の製品が登場し、大いに注目された。名は「EZ03」。基本構造は水平多関節(スカラ)ロボットだが、通常のスカラ型とは全く異なる設計だ。同社はこれを新ジャンルとして、“ウィングスライサー型ロボット”と呼ぶ。そのユニークな形状は、現場のニーズに寄り添う開発ポリシーから生まれた。

 EZ03は不二越にとって初のスカラロボットだ。電気電子業界向けに垂直多関節型の小型ロボット「MZシリーズ」を拡販しているが、「ユーザーのライン全体を自動化する際、スカラ型が必要になることも多い」と花戸宏之執行役員ロボット開発部長は新規参入の理由を明かす。

 ただ、スカラ型は競合他社がひしめく激戦区。選ばれるには、他にない強みが必要だ。「省スペースがキーワード」と花戸部長は差別化ポイントを紹介する。EZ03は天井につるす形での設置が可能。床置きとは異なり、足元の空間を消費しないのが特徴だ。

 工夫は天つり式の採用だけではない。一般的なスカラ型は先端に近い第3軸で上下運動を生み出すが、同社が用いたのはアームの根元となる第1軸で上下する方法。

 このためアームが細身になり、省スペース化につながる。アームの軽量化により他社品を上回る高速動作も可能にした。

 開発時、課題はいかに放熱するかだった。モーター4個全てを土台部に内蔵する独自構造だからだ。熱が集中しないようモーターの配置や筐(きょう)体の形状を調整し、苦労しつつも放熱性能を実用化レベルまで高めていった。

 花戸部長は「ユーザーの要望に応えようとした結果だ」と斬新なロボットが生まれた理由を説明する。主要ターゲットに位置付ける海外の電子機器工場では大量の工員が立ち並ぶ工程が多く、省スペース化は喫緊の課題。「現場の困りごとに対する我々の一つの解がEZ03」(花戸部長)としている。
(文=藤崎竜介)

日刊工業新聞2017年2月1日

日刊工業新聞 記者

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02月01日
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「EZ03」は不二越が新ジャンルとして提唱する“ウィングスライサー型ロボット”。同社によると従来のスカラロボットに比べサイクルタイムを最大3割削減し、また4割近く省スペース化できるという。このほか先端に中空穴を設けているのも特徴。これによりケーブルの効率的な引き回しを可能にしている。最大可搬質量は3キログラム。
(日刊工業新聞第一産業部・藤崎竜介)

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