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射出成形機 スマホ特需なくなり次の一手

射出成形機 スマホ特需なくなり次の一手

射出成形機各社はスマホ特需が減り、機械サイズやターゲット市場をシフトさせている。(写真はソディックのタイ工場)

 日本産業機械工業会(産機工)と日本プラスチック機械工業会の統計などによる2016年の射出成形機(国内生産分)の受注台数は、前年比8・9%減の1万2501台と4年ぶりに減少した。輸出の減少が大きく同11・5%減の8274台。スマートフォン(スマホ)製造の電子機器製造受託サービス(EMS)などIT関連向けの需要が15年後半に落ち着いた反動を受けて、小型機が落ち込んだ。

 国内は高付加価値製品への需要が手堅く、同3・4%減の4227台。自動車部品の樹脂化への対応や、センサー類、日用品などの分野で高精度の製品への需要があるという。

 射出成形機メーカー各社は、いわゆるスマホ特需がなくなった反動減を受けて、小型機から中・大型機へのシフトや、容器などの日用品、自動車分野への移行を進めている。こうした動きを受け、型締め力500トン以上の機種は16年全体でプラスとなった。

 各社によると、17年も小型機は低調。中・大型機に関しては、北米の自動車関連の市場推移が不透明な半面、日用品の需要は世界的に堅調だと見ている。各社は受注台数の大幅増が見込めない状況を受け、生産効率化などで生産変動対応や利益確保の動きを強める。

 また、12月単月の受注台数は、前年同月比19・5%増の1234台と6カ月ぶりにプラスとなった。安定受注の目安とされる1000台の水準は2カ月連続で上回った。
 
 特に輸出が好調で、2色成形など付加価値の高いモデルへの需要が増していると見られる。

 産機工などは15年5月から両団体の会員企業の射出成形機受注実績の公表を開始した。それ以前は日刊工業新聞社が業界筋から入手したデータのため、15年実績は両データを組み合わせている。
                  

日刊工業新聞2017年1月30日
六笠友和
六笠友和 Mukasa Tomokazu 編集局経済部 編集委員
記事中、「2色成形など付加価値の高いモデルへの需要が増している」とあります。ソディックはスマホに防水機能を持たせるシリコン成形のための機械が伸びているそうです。

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