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リウマチの正しい知識と治療法

変形性関節症とは似て非なる病気
 リウマチといえばすぐ手指の”関節“の腫れを思い浮かべると思います。間違いではないのですが、リウマチととてもよく似た病気に、変形性関節症があります。この違いは難しく、手の”ふしぶし“が1カ所でも、数カ所でも腫れたら、このいずれかの病気を疑って下さい。

 リウマチは主として第2関節、変形性関節症は第1あるいは第2関節が腫れることが多くあります。同じ腫れでもリウマチの場合は触った時に軟らかい感じがして、変形性関節症の場合は硬くごつごつした感じがします。

 この二つの病気は似て非なるもので、リウマチは治療をしなければいつまでも痛みが続き、放っておくと関節が壊れて変形が進みます。もう一方の変形性関節症は”変形“と書きますが、リウマチの変形とは異なり、使い過ぎで痛みが増すため、関節を動かさなければ痛みは感じません。休むことで症状は軽快します。

 それでは、リウマチと変形性関節症の根本的な違いについてお話しします。リウマチは、ギリシャ語で流れを意味する「ロイマ」という言葉がその語源といわれています。脳から悪い体液が体の隅々に流れ、その流れが滞ることで腫れや発赤をきたすと考えられていたといいます。

 まずは関節を包んでいる関節包にある滑膜の炎症に始まり、腫れが出現して、その後関節を形成する骨の委縮、吸収、破壊、軟骨の消失から関節拘縮、変形へと進んでいきます。

 一方、変形性関節症はよく言われる加齢現象の一つで、関節を形成する軟骨が消失することで、骨と骨のクッションがなくなり、関節を屈伸する際に痛みを生じる病気をいいます。

 リウマチの治療も、変形性関節症と同様に鎮痛剤しかない時代がありました。鎮痛剤のアセチルサリチル酸(アスピリン)が19世紀後半に合成されてから、鎮痛剤の時代が100年以上続きました。

 その後、20世紀最大といってもよいステロイド剤の発見により、治療はステロイドの時代へと入っていったのです。ちなみに、リウマチ治療になくてはならなかった「アスピリンの作用機序の解明」と「ステロイド剤の発見」は、ともにノーベル賞に輝いています。

 その後、抗リウマチ薬、免疫抑制剤が開発されました。そして今、生物学的製剤による新たな治療の時代へと入ってきたといえます。わが国では13年前から使用が始まりました。

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日刊工業新聞2016年4月15日/22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自分にはほど遠い病気だと思っていたが、かなり理解が深まりました。

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