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「痛風」になってしまった!これだけは守っておきたいこと

「体質」が大きく影響。痛みがなくなっても治療継続を
仕事を終えたら、冷たいビールでリフレッシュ。いいですね。これだけは“譲れない”という人が多くいることでしょう。ただし、その楽しみも度を過ぎて不摂生をしてしまった時は要注意です。翌朝、足の親指や、足そのものが“腫れて痛くなってしまう”なんてことはありませんか。そんな時の痛みの原因は「痛風」が考えられます。

 健康診断で、尿酸値が高いと指摘された経験のある人、その「尿酸」が痛風を引き起こします。我々は、日々の食べ物や飲み物から必要な栄養素を吸収して生きています。その中の一つ「プリン体」が代謝されて、出てきた物質が「尿酸」です。

 体内でつくられた尿酸は血液に溶け込み、腎臓から尿に約7割で、残りは腸から便に、排せつされます。なんらかの原因で血中の尿酸の濃度が高くなると、血液中に溶けきれず結晶になり、体の末端の足指や足などで関節に沈着します。沈着した結晶がいろいろな反応を引き起こし、その結果として起こった炎症が「痛風」です。

 「痛風」発作が起きてしまったら、病院に行きましょう。医師が状態に応じて消炎鎮痛剤や尿酸値を下げる薬を処方します。そして水分摂取も大事です。水分をしっかり摂り、薬の内服を続けることで症状は消退していきます。そして、また元気に生活できるようになります。

 ここで医師の立場から、注意すべき点を言わせてもらいます。実は、症状がなくなってしまうと病院に来なくなってしまう患者さんがたくさんいます。「症状もないのに病院になんて」とお思いでしょうが、「痛風」にかかってしまう患者さんは、「体質」が大きく影響している人が少なくありません。

 尿酸は食べ物や飲み物から生じるより、普通に行われている正常な体の代謝によって生成されるものの方が量は多いのです。すなわち、「痛風」になる人は元来、高尿酸血症になりやすい「体質」であり、暴飲暴食や脱水はあくまでも“引き金”であっただけかもしれないのです。

 ですから尿酸値を正常な状態で維持する治療をやめてしまうと、再度発作を起こしたり、腎障害や尿管結石、その他さまざまな生活習慣病を合併してしまうかもしれません。治療を継続しながら、症状をコントロールしていくことをお勧めします。

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日刊工業新聞2015年9月25日/10月2日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ビールはほとんど飲まないのだが、尿酸値が高くなりそうなものが大好き。一時高めだったが今は一応、問題ない範囲に収まっている。痛風の人の辛さは本人にしか分からないが、とにかく一度発症してしまうと基本は治らない。でも今日もプリン体の誘惑が・・

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