トヨタのスピードに驚くルンバの生みの親。「グーグルにもうキャッチアップしている」

米リシンク・ロボティクスCTOが語るロボット、IoT、自動運転の最前線

 ロボット、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)が急速に生産現場や我々の生活の場に普及してきた。ロボット工学の世界的権威で米リシンク・ロボティクスCTO(最高技術責任者)のロドニー・ブルックス氏は、中小規模の企業がこれら技術を導入しにくい環境を問題視する。詳しい話を聞いた。

 ―大企業の工場を中心に、IoTやロボットが浸透しています。
 「米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスのような大企業は大がかりなIoTの仕組み作りをロードマップに沿って進めている。一方で、中小規模の企業にとって、IoTやロボットの導入はまだ挑戦的な取り組みであり続けている。これは課題だ」

 「IoTやAIは、すでに複雑なシステムが存在する『ブラウンフィールド』の上に載せていくことになる。中小企業でも稼働する機械に無線ネットワークなどの機器を採り入れてデジタル化する。その際、機械を制御するプログラマブルロジックコントローラー(PLC)、機械類、ロボット類などとをつなげないといけない。いまは煩雑で、技術者がいないと難しい」

 ―そうした状況の中で、リシンクはどんな課題解決を提供できますか。
 「リシンクはPLCがなくても機械類と接続できるロボットシステムを開発している。例えるなら、いまの工場は黒電話。外の世界はスマートフォン(スマホ)なのにだ。中小企業のような規模でこそ、最新の技術をいち早く採用して生産効率や品質の水準を引き上げるべきだ。リシンクはそのサポートをしたい」

 「現状、ロボットの導入ではシステム構築業者の力も必要だ。彼らの力は重要だが、リシンクが考える理想型は、システムインテグレターなしにロボットを誰でも利用できる世の中。これまでの技術の進歩を振り返って見ても、遠い将来の話ではない」

 ―一般家庭ではどんな恩恵を受けられますか。
 「いまもセキュリティーの企業が家庭を見守り、我々もカメラやスマホで高齢の両親を見守れる。こうした技術はIoTそのものだが、サービスという名前で浸透している。今後もセンサーを使って、より付加価値の高いサービスが開発されていくだろう。また、米アマゾン・ドット・コムのAIスピーカー『エコー』のようなホームネットワークも多様になる。音声認識能力が格段に進化しているし、エコーはすでに便利。今後もっといろいろと便利になる」

【記者の目・自動運転の新技術に注目】
 ロドニー・ブルックス氏はトヨタ自動車のAI研究子会社に参画している。自動運転技術の動向について聞くと。「トヨタの動きの速さには驚かされる」とのこと。優秀な研究者を集めるスピードが速く、先に着手した米テスラやゼネラル・モーターズ(GM)、グーグルにもうキャッチアップしているという。近いうちに、驚くような新技術が出てくるかもしれない。
(文=石橋弘彰)

石橋 弘彰

石橋 弘彰
01月24日
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ロドニー・ブルックス氏は米アイ・ロボット社のお掃除ロボット「ルンバ」の産みの親として知られる。だが、インタビューで話を聞く限り、氏の興味は産業用ロボットに向いているな、と感じた。生活者としては、身の回りのロボット事情に興味がある。だが、産業用ロボットがもっと広がっていくことも重要だ。生活ロボットの進化は他の企業や人に任せることになる。

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