躍進するフリマアプリ「メルカリ」 YouTuberマーケティングの秘密

【メルカリ鋤柄×THECOO中山】インフルエンサーの効果と可能性

 日本でも浸透してきたインフルエンサーを起用したマーケティング戦略。フリマアプリで躍進する「メルカリ」も新たなプロモーション戦略として成果を上げている。同社でプロモーションの実務を取り仕切る鋤柄直哉氏と、昨年、YouTuberマーケティングをサポートしたTHECOOでインフルエンサー事業の責任者を務める中山顕作氏のお二人に、インフルエンサーマーケティングの効果と可能性について語ってもらった。

新しいユーザー層にもアプローチしたい


ニュースイッチ編集部(以下=N)
そもそもインフルエンサーマーケティングをやろうとしたきっかけは?

鋤柄 以前から実施検討はずっと続けていました。ただボリュームインパクトのでるTVCMやFacebookなど新規ユーザーの獲得効率のよいディスプレイ広告に出稿することが社内では優先度が高くなります。

 とはいえメルカリは2017年2月でちょうど会社設立から4年、サービスリリースから3年半。同じようなプロモーション手法のみを継続していても同じようなユーザー層にしかリーチできないですし、新しい手法はどんどん試していきたいという思いはあります。それで徐々にTwitter/Instagram/YouTubeなどでインフルエンサーマーケティングを試していっているという段階です。

 まず一番はじめはTwitterでキャンペーンを実施しました。フォロワーが多くメルカリのサービスと相性の良さそうなインフルエンサーの方たちを10名ほどアサイン(指名)し、その方たちにメルカリのアカウントを作成してもらい、私物を出品してもらいつつプロモーションしていただきました。

 このキャンペーンの効果が良かったので、次はYouTubeでやってみたいと考え始めた時にTHECOOさんがいたな、と思い出して連絡させていただきました。

中山 鋤柄さんがTwitterでやられたタイミングは弊社もYouTuberしかやっていなかったのですが、昨年にTwitterやInstagramのインフルエンサーも取り扱うようになって、どれぐらいユーザーがリアクションしたか、Instagramであれば「いいね数」とか、「コメント数」とか全部集計して、どのインフルエンサーがどれだけ力があって、企業として使う価値があるのか一覧にしたサービス(「iCON Suite(アイコンスイート)」)をリリースしたんです。

 これまで目検や手で集計していた工数が相当ばっさり減らせます。そこで数字的な仕切りができれば、あとはインフルエンサーがサービスをほんとに使っているのか、コミットはどのくらいなのか、という定性的なマーケティングにより突っ込んでいけます。THECOOがやっていることは面白くて価値があると思っています。

メルカリの鋤柄さん

テキストと動画ではダウンロード後の反応が違う


鋤柄 中山さんがおっしゃっていた通りで工数削減に繋がると同時に、費用対効果が数値として見えることは社内の説得材料にもなるし、起用するインフルエンサーの選定基準としても非常に意味がありますね。

中山 想像になってしまいますが、以前キャンペーンを実施した際のTwitterのリストはフォロワー数とリンクと金額ぐらいの感じなのかなと。こちらはユーザーのデモグラフィック(人口統計学的属性)の情報とか、動画の平均再生回数とか、直近の再生回数とか、いろんな情報を付加してお渡ししていたので、Twitterのインフルエンサーを選ぶよりは楽だったのでは?

鋤柄 それはあると思います。数値的な根拠は多いほうが助かります。あとYouTubeは過去にアップされている動画を見ることで、YouTuberそれぞれの趣味嗜好がわかるので、メルカリのサービスとの相性を測りやすいと感じていました。

 Twitter、YouTuberどちらのキャンペーンもF1層(20ー34歳までの女性)をターゲットで実施したので、Twitterのインフルエンサーは全員女性。YouTuberも十数名のうち1組男性がいたくらいでした。ただYouTubeでは女性のインフルエンサーの母数がまだ少ない印象なので、アサインに苦労しました。

中山 傾向的にはYouTubeを見ているのは男性の方が多い。Googleのデータとかみると、YouTuber動画を見ている人はバランスよくいるように言ってますが。弊社には2900名のYouTuberが登録していて、視聴者データをみれば。やっぱり男性の方が多いですね。

 F1層はYouTubeをあまり見ないで短い動画に行くイメージがあるのですが。Twitterとの効果の違いとかは?

鋤柄 キャンペーン実施後に、YouTuberの動画経由で獲得したユーザーの購入転換率や出品転換率を測ったところ、Twitterでのキャンペーンやディスプレイ広告経由などと比較して良かったですね。

 Twitterはインフルエンサーとはいえ、画像1枚とテキストでの訴求のみでした。一方YouTuberは5~10分の動画でしっかりサービス内容を見せてくれるので、訴求力が全然違うと感じています。ダウンロード前のサービス理解度が大きく変わってくるので、ダウンロード後のアクションにも数字的な差が出てきます。

鋤柄 YouTuberではメルカリのターゲット層の興味の強そうなメイクや美容の動画をメインでアップしている人を多く起用したり工夫もしましたね。

サービスのコンテキストに合った人を選ぶ


 メイク動画を上げている人が突然、メルカリのようなサービスを紹介し始めると違和感を感じたりしませんか。

鋤柄 そこは結構注意して選択するようにしていました。メイク動画をメインで上げていても、それだけという人はなるべく外すようにしました。Twitterの時も同じでしたが、「メルカリを普段から使ってます」というインフルエンサーの方の説明は圧倒的に説得力があるし、コンテンツとして単純に面白い。使っていないとセリフを読んでいるようなぎこちない感じが出てしまう。ここが一番大きなポイントだと思っています。

中山 これから日本のYouTuber界では、コンテキスト(文脈)にあった人を使うように広告出稿側がうまくコントロールして人を選ぶことは絶対に必要です。今回、メルカリさん、鋤柄さんもそこを意識して頂いてスムーズに話ができました。

 米国の状況をみてみると、YouTuberの個が立っていて、自分のチャンネル、自分のファンのことを滅茶苦茶理解している。なので仕事をすごく断ります。日本も広告主が増えてきているのですが、そこまで自分のチャンネルでコンテキストを見つめ直せているインフルエンサーはまだそんなに多くないと。安易に仕事をふらないこともその人のためになったりしますから。

<次のページ、次はターゲットを変えてサービスの幅を伝える>

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