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国内の透析市場は飽和気味も、ニプロが中国・インドで人工腎臓を大増産

北米でも受注が急増、20年度1000万本生産へ
国内の透析市場は飽和気味も、ニプロが中国・インドで人工腎臓を大増産

ニプロの人工腎臓のダイアライザー製品

 ニプロは血液透析関連製品のダイアライザー(人工腎臓)をインドや中国、大館工場(秋田県大館市)で増産する。北米で受注が急増し生産が追いつかないほか、成長著しいインドや中国の今後の受注増に対応する。3工場を合わせて2021年3月期までに、現在の月産700万本から約29−43%増の同900万―1000万本まで生産能力を高める。

 増産に向け中国とインドの工場で製造ラインの増設を計画する。まずは中国子会社の尼普洛医療器械(安徽省)で、17年にダイアライザーの製造ラインを1ライン増設する。これにより、現在の月産50万本から同100万本に倍増する。

 17年以降の中国工場の増設計画は、医療機器の製造承認の取得状況を見ながら検討するが、既存の製造棟は4ラインを収容可能で残り2ラインを増設できる。また、4ラインを増設可能な製造棟の建設に必要な用地も取得している。

 また、インド子会社のニプロインディア(マハラシュトラ州)も18年に1ラインを増設し、現行比2倍の月産100万本に増強する計画。インドは18年から毎年1ラインずつラインを追加し、計5ラインまで増やし、月250万本の生産体制を整える。

 インドは政府の透析施設の開設により高度医療が普及しつつある。ニプロは各州に販売網を広げ16年中に営業人員を200人に、20年には500人体制まで増やし年間販売約350万本を目指す。

 北米の受注増については当面、大館工場の既存設備の増産による輸出などで対応するが、今後の受注増を見ながら現地工場の建設を検討する。ダイアライザーの17年3月期の売上高は562億円を見込む。
日刊工業新聞2017年1月12日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
生活習慣の改善や予防医療の進展で、国内の透析装置市場は飽和気味だ。一方で、経済成長著しい中国・インドでは透析患者の裾野が広がり、肥満など生活習慣病の改善が国家的なテーマになっている米国やメキシコなどでは透析需要の潜在的なボリュームが大きい。透析装置を伸ばすためには海外市場の拡大がテーマだ。

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