高校生のビジネスプラン、グランプリに大阪の三国丘高

多様化する起業家・ベンチャー支援

 日本政策金融公庫は8日、東大伊藤謝恩ホールで第4回高校生ビジネスプラン・グランプリの最終審査会を開き、ファイナリスト10組から大阪府立三国丘高校の「ビビック〜安全な蚊除け商品開発ブランド〜」がグランプリを受賞した(写真)。デング熱やジカ熱の予防対策として天然素材を利用した蚊除けグッズを開発、“人体実験”として効果検証に取り組んだ点が評価された。チーム代表の飯坂莉名さんは「フィールドワークでフィリピンに行き、現地の学生と英語のコミュニケーションを取るのが一番苦労した」と語った。

 また、ウォンテッドリー(東京都港区)の仲暁子最高経営責任者(CEO)が特別講演し、「優勝するだけでは意味がない。どれだけ持続できるものが出せるかが大事」と呼びかけた。
            

日刊工業新聞2017年1月10日



東京都の起業家支援、成果はいかに?


 東京都が2015年度に始めた短期集中型起業家育成事業「青山スタートアップアクセラレーションプログラム」の活動が勢いを増している。受講生の第2期生9社が8日、投資家や大企業約100社を前に投資などを呼びかける卒業発表「デモデイ」を開き、事業プランを発表。第3期生の活動も始まった。自治体や民間、大学など支援側も活性化してきた。ベンチャーブームの今、起業支援の現状を追った。

 創業支援施設「青山スタートアップアクセラレーションセンター」(東京都渋谷区)で開かれたデモデイでは、資金調達や共同開発募集など9社が9様の支援を訴えた。感性アルゴリズムAI技術を使ったサービスを展開するリトルソフトウェア(東京都渋谷区)の川原伊織里社長は、ペットの猫が安らぐ音や、自動車の運転者向けに眠気を回避させる香り(アロマ)を開発したことなどをアピール。脳波を最適化できる商品として教育に関する『集中モード』を共同開発する企業の募集を呼びかけた。

 ペットボードヘルスケア(東京都港区)の堀宏治社長は複数社を起こした“連続起業家”で、今回、資金調達の協力者を求めた。有機ペットフードとペットの健康管理アプリ、自動給餌機能を持つIoT(モノのインターネット)デバイスを組み合わせた国内初のペットヘルスケアIoTサービスを提供する予定で「ペットフードを購入すればハードウエア代を事実上無料にする」と宣言した。

 持ち手がアルミ削り出しの歯ブラシ「BYTAPS」の定期配送サービスを展開するグレーアンドネイビー(東京都渋谷区)の中村友憲社長は、17年に海外展開を計画する。そもそも市場自体がないため、自ら市場創出にも乗り出す。デザインと使いやすさに敏感で意識の高い人向けに「新しい当たり前をつくり、日常生活を変えていく」と強気だ。

 起業家イベントを大々的に実施し、起業を応援する動きも勢いを増している。10月29日に都内で開かれたウェイビー(東京都千代田区)主催の起業家イベント「TERACOYA―2016TOKYO―」。最大の売りは、亀山敬司DMM.com会長ら総勢39人の有名起業家や経営者の基調講演が聞けて、人脈づくりができることにある。TERACOYAには「1兆(テラ)円企業を目指そう」との思いも込められている。

 北見大輔ウェイビー副社長は「回り道しなくてもうまく起業できるこつがあるので、それを提供したい」と語る。学生や起業志望者ら約1500人が参加費を支払って参加した。同様のイベントを今後も計画しており、本業である起業支援と顧客獲得も進める。
ウェイビーの伊藤健太社長㊨が「起業に必要な最低三つのこと」を伝授


 同イベントの開催情報はフェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)で拡散され、新潟県から夜行バスで来場した高校3年生の姿もあった。当日、新宿区高田馬場創業支援センターの出展ブースで「起業時に活用したい融資、補助金の獲得必勝法」を伝授した日本政策金融公庫新宿支店国民事業の担当者は「創業計画書フォーマットを例に挙げてどう書くべきかなど説明したが、なかには資金調達済みの大学生もいた」と、若者の行動力に驚いていた。

 自治体同士が連携して支援する取り組みも活発化している。広島県や神奈川県横須賀市など7自治体で構成するスタートアップ都市推進協議会(高島宗一郎会長=福岡市長)は、21日にピッチイベント「ジャパン・スタートアップ・セレクション2016」を都内で開き、7自治体に拠点を置くベンチャー37社と首都圏の大企業や投資家とのマッチング交流会を実施した。

地方企業が新たな展開を進められるよう今後もバックアップしていく。
(文=大塚久美)

日刊工業新聞2016年11月28日



銀行、中長期でVB支援


 銀行とベンチャー企業の関係が変わってきている。ベンチャー企業を中長期で支援する姿勢を前面に打ち出し、時には赤字でも融資をいとわないようになった。「産業の黒子」といわれてきた銀行が日本の産業の活性化のために目先の利益にとらわれない取り組みを継続することの意味は重い。

 「激論を重ね、時には衝突もしたが、振り返れば、規模の拡大や人材採用などベンチャーならではの相談に乗ってもらった」。ロボットハンドの開発を手がけるスキューズ(京都市南区)の清水三希夫社長は銀行の「助言力」をこう評する。

 開発専業にするかメンテナンスも含めて川上から川下まで手がけるのかなど、ビジネスモデルの根源的なところまで意見を交わし合う。「メガバンクは失敗したベンチャー企業をたくさん見ている。我々の知らない世界を知っている」。

 銀行がベンチャー企業育成を強化している背景には早期に有望企業を囲い込むことで中長期の取引につなげる狙いがある。有望企業を見極める「目利き」は容易ではないが専門部署を設置したり、優れた技術やサービスを持つベンチャー企業を表彰するコンテストを開催したり、躍起だ。

 銀行の思惑とは別に、ベンチャー企業側も「メガバンクの看板」の恩恵は大きい。

 東京工業大学発のベンチャーで配管点検ロボットのハイボット(東京都品川区)の北野菜穂管理部マネジャーは、「新規取引などでの信用力が格段に増した」と強調する。三菱東京UFJ銀行が開催したコンテストでの受賞を機に同行に取引を一本化。広瀬茂男ハイボット会長は「技術はあった。ビジネスの拡大に本腰を入れたい」と社内の体制整備を進める。

 金融とITを融合したサービスの普及も両者間の距離を縮める。三井住友銀行には多くのベンチャー企業が訪れる。あるソフトウエア会社の社長は「3日も空けずに訪問することもある」と語る。銀行がベンチャー企業と膝詰めで、一緒に新サービスを模索する姿はこれまでの旧態依然とした銀行像を拭い去りつつある。

 新興市場の新規上場数は足元は右肩上がり。バイオ銘柄などは業績に関係なく、上げ底感がある。「ベンチャーバブル」の感は強いが、融資の現場も同じだ。銀行にしてみれば、国内の預貸業務が伸び悩む中、有望な資金供給先でもある。あるベンチャー関係者は「いくつかの金融機関から融資の打診があったが、中にはケタが一つ大きい提示があり驚いた」と語る。

 一方、ベンチャー企業育成は政府が重点課題に挙げながらも、諸外国に比べて支援体制の未整備を指摘する声もある。メガバンクの担当者は、「正直、草の根のベンチャー企業支援はビジネスとしてうまみは少ない。メガバンクの仕事にしては地味だが、日本の産業にとって重要な仕事」としている。
(文=栗下直也)

日刊工業新聞2016年12月6日

安東 泰志

安東 泰志
01月10日
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ビジネスプランをしっかり立てられることは、将来事業会社に行くにせよ起業するにせよ、重要な成功ファクター。高校生レベルだけでなく、社会人になってもこうしたビジネスプランを磨く機会を作っていきたい。東京都としてもベンチャー支援は来年度の重要な課題だ。

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