【世界に誇るテックベンチャー#03】エスキュービズム

ソフトとハード、リアルとデジタルを縦横に 薮崎敬祐社長インタビュー

 ―インターネットで起業して家電やIoTにも手を広げた経緯について。
 「創業した頃はミクシィやユーチューブが出てきた頃で、企業向けのITサービスはあまり無かった。最初はホームページや動画の制作から入り、ECサイトの構築で本格的に事業を立ち上げた」

 「そこからPOSシステム、ネット通販事業、家電へと事業を広げた。当初から、21世紀にはハードとソフトを作る技術と、それを広めるリアルとデジタルの流通網が重要だと考えていた」

 ―家電やIoT分野は大手を含め競合が多い中で、優位性は。
 「ECサイトの構築で蓄積したノウハウがあり、ネットだけでなく大手家電量販店とのつながりもある点。家電製造では初回のロットを圧倒的に少なくすることで、製造コストは高くつくが在庫リスクが抑えられる」

 「テストマーケティングとして実際に売ることで、売れそうであれば大量生産に踏み切る。売れない商品は製造しないためその分は赤字になるが、調査費と考えれば適正と考えられる」

―創業から10年が経ちましたが、資金繰りはどうでしたか。
「2007年にオリックスキャピタルから7500万円を調達。EC製品を作る開発力と、それを提供するための営業力を備えた組織作りを行った」

 「当時、社員が10人にも満たない状態で新卒採用に踏み切った。同時に現在の主力商品の一つであるECパッケージ『EC-Orange』の元となる製品の開発も行った。それが09年からの成長につながった。

 ―ECパッケージとはどんな商品ですか
 「EC-Orangeは、個人ショップから大型ショッピングモールまで規模や業種を問わず、さまざまなECサイトを構築できるパッケージ。ネットと店舗を相互に連動するオムニチャネルにも対応している」

 「大手企業がアマゾンなどで商品を売ろうと思ったときに、在庫情報などが入った基幹システムとの連携がたいへんになる。これを大手ITベンダーが作ったら、億円単位になるが、当社のパッケージを入れてカスタマイズすると数千万円で構築することができ、コストダウンになる」
 
 ―売上高100億円が視野に入りますが、成長戦略は。
 「ECパッケージなどのIT、家電、別会社で手掛ける中古車販売の3つを軸に展開する。ソフトウェアの方はより高機能なパッケージを出していくのと、もう一つはBツーBの機能を強化していく。家電はワンドア冷蔵庫のような大手がやらないところで商品を発売していく。今十数ある商品を2020年くらいまでに30商品、40商品に増やしていきたい」
  (聞き手=宮里秀司)

【会社概要】
IT企業から出発し、家電からIoTまでを手掛ける「産業リノベーションカンパニー」を掲げる。ソフトとハード、リアルとデジタルという4領域で事業展開する。




日刊工業新聞2017年1月6日付

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
01月08日
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薮崎氏は、ミクシィやグリーなどネット企業を生み出した”ナナロク世代”より若い79年生まれ。レガシー好きな薮崎氏は家電や中古車など、誰もネットを活用しないような産業でのネット導入を考え、今のビジネス形態にした。余談ですが同行したインタビュー中、理解に悪戦苦闘し考え込んでいた理系出身の記者に対して「研究出身の人たちはお酒の席でもどこでも、納得してからでないと発言しませんよね」と一言。大学院時代、学会などでの発言後は必ず沈黙の時間があったのが印象に残っているそう。技術者を束ねる今、経験は役立っているようです。考え込みすぎる癖は気をつけます。
(日刊工業新聞東京支社・髙橋沙世子)

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